「ストイックだけど、自分をちゃんと甘やかす」ゆうたろうさんのおうちごはん

きのう何作った?

PEOPLE
2022.08.23

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モデルや役者として活動している、ゆうたろうさん。忙しい生活の中でも、自分なりの食のルールを決めて、実践しているそう。ストイックな部分もありつつ、時には自分を甘やかす。そんなゆうたろうさんの食との向き合い方やおうちごはんのリアルを聞きました。

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お話を伺った人:ゆうたろうさん

1998年6月3日生まれ、広島県広島市出身。2016年、ショップ店員から“かわいすぎる美少年”モデルとして芸能界デビュー。17年からドラマや舞台で精力的に役者活動を行う。現在、ドラマ『ばかやろうのキス』(土曜14:30〜15:00)が放送中。パルコ・プロデュース2022 舞台『桜文』が9月5日より、東京・大阪・愛知・名古屋で上演。

引き算から始めた、食生活のマイルール

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ーーゆうたろうさんは、昔からよくお料理をされていたんですか?

いえ、そこまで料理をするタイプではないですけど…。僕は4人きょうだいで、誰かしらは母の手伝いをする家庭だったんです。姉が習い事や勉強で忙しくて手伝えないときは、僕と妹で洗い物をしたり、何かを炒めたり。そういうサポートはしていました。

だから、慣れていないわけではないんです。でも、一人暮らしをするようになってからは、どうしても仕事で疲れてしまって。家に帰ってきてから何かを作って食べる、という時間はなかなか設けられなかったですね。ただ、最近外出する機会が減って、家で過ごす時間が長くなったときは、姉に家に来てもらって、よく自炊をしていました。

ーーそうなんですね。なかなか時間がとれなかったそうですが、最初に自炊に向き合うようになったのは、上京されてからですか?

はい。東京に来てからですね。その前に2年ほど、親元を離れて大阪に住んでいたんですけど、バイト先のオーナーのもとで居候させてもらっていたんです。そのオーナーが100%外食の人で、僕も生活リズムを合わせていました。当時16歳で僕も食べ盛りだったので、時間帯も量も気にせず食べていたんですよ。そうしたら8キロぐらい太ってしまいました。

「さすがにやばい!」と思って…東京に来てからは、モデルや演技のお仕事を始めたこともあって、ちょっとずつ食習慣を見直しました。好きなものだけを食べていたら、健康的に良くないと気づいたんです。そこから、白米より玄米を選んで食べたり、食事にサラダを添えたりするようになりましたね。

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ーー自炊メニューは、どんなものから始めたんですか?

自分の好きな食べ物の中で、一般的に体にあまりよくないとされているメニューをやめることから始めました。具体的には、ピザやラーメン、パスタ、ハンバーガー系です。何を食べるかではなく、何をやめようか?という引き算から始めました。

一か月やめられたら、さらに追加で制限。例えば、揚げ物断ちを一か月達成できたら、一日だけごほうびに食べる。そこから、また一か月がんばってみる。そうすると、割とスムーズに「もう食べなくてもいいかな」という気持ちになれましたね。

ーー食生活を改善する際、おうちでは何を作っていたんですか?

ひたすらカレーを作っていました。

ーーあ、カレーはセーフなんですね(笑)。

はい、カレーだけは!最初はとりあえず炭水化物をやめようと思っていたんですが、それがストレスになってしまって、体調が悪くなったり、肌が荒れたりしたんです。だから、そこからは7割ぐらいストイックにがんばって、あとの3割はごほうびごはんにしようと思って。

食べたいものはちゃんと食べるけど、量を調節。昼間は食べていいけど、その代わり夜は少なめに…など、マイルールを決めてやっていましたね。

ーーどんなカレーを作っていたんですか?

メインは野菜。もちろん肉を入れることもありますけど、夏野菜がたくさん入った、具だくさんなカレーがすごく好きなんです。いっぺんに作って、二、三日はカレー三昧な日々を過ごしていました。カレーうどんにアレンジすることもありましたけど、本当にカレーが好きで。一時期めっちゃ作っていました。

そして、基本的には玄米です。母がすごく玄米が好きで、実家にいるときから、白米よりも玄米を食べていたので、そこまで苦じゃなかったんですよね。カレーだと、さらに食べやすいですから。

ーー具だくさんカレー、おいしそうです。

カレーって、食材を選ばないと思うんです。野菜もきのこ類も肉系も、何か余ったものをとりあえず刻んで入れれば、整う。僕の中で、「カレー」の定義は広くて、本当に家にあるものをなんでも入れていました。とりあえず適当にざく切りにして入れてしまえば、「できる人の料理」みたいになるから。

ーーゆうたろうさんが好きなカレールーなどはありますか?

実家で慣れ親しんでいたので、バーモントカレーには絶対的な信頼を置いていますね。あとは、最近、粉末のカレーもあるじゃないですか。スーパーにいっぱい種類があったので試してみたら、粉末だからすぐ溶けてくれるし、味もしっかりしていました。

今まではバーモントカレー一筋だったんですけど、新しい挑戦もありだなと思いましたね。それこそ、今度はルーなしで、スパイスだけで作ってみたいなとも思います。

ーーカレー以外のレパートリーはどうやって増やしていきましたか?

カレーの他は、味噌汁とか鍋とか、同じぐらい適当に作れるものばかりです。

今の家に引っ越してから、一人用の鍋を買ったんです。大鍋で作ると、残してはいけないと思って、ついつい食べすぎてしまうので。ちょうどいいサイズの一人用の鍋に野菜をたっぷり入れて、食べたりしています。

ーー鍋のサイズに合わせて食べる量を調整するの、いいですね。

自炊って、慣れている人なら節約にもなるし、ダイエットにもなると思うんです。けど、慣れてないと逆にお金使っちゃうし、太っちゃう。僕もそんなに慣れている方ではないので、とりあえず作って、作った分を全部食べてしまうんですよね。一人用の鍋を買ったことで、食事の節制もがんばれていると思います。

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たまにはごほうびとして、白米や麻婆豆腐を好きなだけ食べることもあるそう

顔が見えるお肉屋さんで、懐に入る術を学ぶ

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ーーゆうたろうさんは料理をするようになって、何か心境の変化はありました?

もちろんお店で食べるのもおいしいし、充実感は味わえます。けど、自分の手で作ったものって、自分の好きなように作れるし、それを誰かが食べてくれるという行為自体も幸せだなと思うんです。

僕はこれまで食べる側の人間だったのですが、自炊をするようになって、レストランでもちゃんと作った人に感謝したり、「ごちそうさま」の一言だけでも伝えたりしようと思うようになりました。自分が言われたら、嬉しいですし、また作りたいなという気持ちになるので。自炊することで、幸福度は上がったかもしれません。

ーー食器にもこだわっているのかなと思うんですけど、どうですか?

姉がよく家に来るんですけど、引っ越し祝いとして、お茶碗やどんぶりをプレゼントしてくれたんです。そのプレゼントをきっかけに、食器棚も変えて、ちょっとふらっと寄ったお店で器を買ったりして、こだわるようになりましたね。

今までは、もう全部同じお皿だったんですけど、今は「カレーはこの皿」、「味噌汁はこのお碗」みたいな感じで、選ぶ楽しさを感じています。

ーーゆうたろうさんの“推しスーパー”はありますか?

今住んでいるエリアにあるのが、お酒だけでも100種類ぐらいあるような、大きなスーパーで、しかも24時間営業なんですよ。そのスーパーによく行きますが、近所には他にもお肉屋さんと魚屋さんもあって。たまたま住むことになって知ったんですけどね。

ーーお肉屋さんでお肉を買ったりするんですか。

そうです、そうです。新鮮ないいお肉が売っているんですけど、安いし、量や調理方法も相談できるのがいいです。

初めて名前を聞くような部位でも、どういう食べ方がおいしいか教えてくれるんですよ。一つ聞いたら、情報を10倍で返してくれる(笑)。そういうコミュニケーション、すごくいいですよね。

ーー素敵ですね。

僕はもともとアパレル店員なので、人とお話するのがすごく好き。スーパーだと、レジで会計をするだけですけど、お肉屋さんや魚屋さんだと会話をするし、そこだけのコミュニケーションがあるじゃないですか。顔を覚えていてくれたりするので、また行きたいなと思うし。

アパレルとは違うけど「こういうことを話したら相手が居心地良く思ってくれるのかな」という勉強にもなりますし、懐に入る術も学べるなと思っています。

ーーお店の方はゆうたろうさんだと分かってお話しているんでしょうか?

多分、全然知らないです(笑)。普通のお客さんとして接してくれて、そういうのも居心地がいいなと感じます。変に意識されたら、行きづらくなるじゃないですか。もしかしたら僕のことを知っているかもしれないけど、知っていたとしてもそういう素振りをしないでいてくれる。それがいいなと思います。

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肉巻きアスパラにも挑戦

ーーいいですね。リラックスできるというか、素敵な関係性ですね。

そうですね。僕が住んでいるエリアは、ファミリー層が多いからか、なんだかみんな余裕を持って暮らしている気がするんです。忙しくないというか、急いでいないというか。それまでまったく馴染みがなかった場所に住んだんですけど、結果、すごくいいエリアだなと。今は、環境にも満足してます。

ーーお肉屋さんで買ったお肉は、どう調理されることが多いですか?

シンプルに焼肉として食べていますが、この間は野菜巻きにしました。サンチュのような葉で巻いて、韓国風に食べるんです。それから、ちょっと脂っぽかったサーロインステーキを小さくカットして、カレーに入れたりもしました。

ーー困ったらやはりカレーなんですね。

はい、カレーは自分の味方なので!

甘えられるところは甘えていい

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ーーゆうたろうさんの冷蔵庫のスタメン食材はありますか?

最近は撮影で地方に長期間行くことが多くて、家に帰っても、なかなか自炊の時間をとれなくて。なので、最近は冷凍で届くお弁当を常備しています。

ーーへぇ、そんなものがあるんですね。

僕が利用しているのは、「CHEF BOX」というサービスなんですけど、脂質30グラム以下に設定したり、好みの味付けを選んだりできるんです。配達の頻度も選べるので、今のところやめる予定はないですね。

がんばるときはがんばるけど、料理は無理して作るものでもないと思っているので。食生活はもちろん気をつけてますけど、必要な栄養を把握して、自分で食べたいものを作れるかというと、そこまでのスキルもない。なので、宅配サービスを使ってみたり、ウーバーイーツでサラダ専門店を選んでみたり。甘えられるところは、甘えていいと思っています。

ーー普段から栄養素や脂質の量も気にされているんでしょうか。

アスリートでもないので、そこまで気にしているわけではないですけどね。自炊ではなかなか気を配れないので、こういったサービスを通じて「脂質何グラム以下でもこういうものが食べられるんだ」と気づきにはなりますよね。

あとは、ジュース1本にこれだけの砂糖が入っているんだとか、普通のチョコとカカオ70%以上のチョコだとこんなに違うんだとか。そういうのは意識してますね。

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ーーそのほか、何か食へのこだわりはありますか?

今の家に引っ越してから、キッチンが広くなったので、いろいろ揃えたいなと思って、コーヒーメーカーを買ったんですよ。外で買うと高いし、いつでも自分好みのコーヒーを飲みたいと思って。

16時間の軽い断食をするオートファジーダイエットをしていた頃は、炭酸水やお茶、そしてコーヒーは飲んでいいということだったので、コーヒー1杯で食事を済ませることもありましたね。

ーーコーヒー豆にもこだわりが?

最初はスーパーに売っている豆などを買っていたんですが、知り合いに横浜のテラコーヒーというコーヒー豆屋さんを勧めてもらって。30種類ぐらいの豆からいろいろ選べるし、親身になって相談に乗ってくれるし、実際勧めてもらった豆はどんぴしゃでおいしかったんです。横浜に行く度に、結構な量のコーヒー豆を買っています。

「太った」「痩せた」と言わないで

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ーー地元の広島では、洋食屋さんでアルバイトをされていたそうですね。

はい。半年ぐらいだけですけど、「肉のますゐ」という店で。1階がお肉屋さん、2階が洋食屋さんなんです。夜はすき焼き屋さんになるので、大人向けなのですが、昼は千円以下でランチが食べられます。名物のとんかつは、380円でした。すごく安いのに、ちゃんとおいしくて、ボリュームもありました。

たまに地元に帰ると寄るんですけど、感動するくらいおいしくて。都内で食べたら多分3、4倍の値段になると思いますが、多分お肉屋さんだからできたのかな。僕は当時15〜16歳ぐらいだったので、お店の方も「食べなさい、食べなさい」と優しくしてくださって。まかないもおいしかったですね。

ーーご自身で自炊するようになってから、そのありがたさに気づいたわけですね。

そうですね、あんなものをまかないとして食べさせてくれてたんだ、と。今思うと、すごくありがたいことです。

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ーー食が今のお仕事に繋がっているな、と感じることはありますか?

本当に直結するなと思っています。2か月間ぐらい外に出られなかったとき、ほとんど動かないのに食べていたので、分かりやすいぐらい太ってしまって、ショックを受けました。

今は4K、8Kと高画質で撮られる時代。役者は、それを全国に流されるわけじゃないですか。多少メイクで助けてもらっていますけど、その恐怖を知ってからはさらにがんばろうと思って、今は気をつけてますね。食べる量や時間帯、食べる物を選ぶようになりました。

ーー映像だと、ごまかしがきかないですものね…。

特に、女装をしたときに思います。僕が演じるのは、肌や体のラインが出る役も多いので。そういうときは「これは僕だけの顔と体じゃないんだ」と自分に言い聞かせています。原作のファンや、キャラクターのファンもいらっしゃるので、この上がりきったハードルは裏切れない。「食べたい!」と思っても、「明日起きてからにしよう」と思い直すことも多いです。

たまに何でも食べていい「チートデー」を設けているので、そのおかげでがんばれているかな。この世界を離れたら、一瞬で10キロ増える自信があります(笑)。

ーープロとして節制されていることがすごいです。一方で、そんなに無理しなくてもいいのではとも感じてしまいます。

よく言っていただくんですよ、食べてもいいじゃん、そんなに変わんないよ、と。多分優しさだと思うんですけど、僕からしたらそれは甘やかし。そういう言葉を受け入れると、僕自身がダメになってしまうので、聞き流しています。

だからファンの人にも「痩せたとか、痩せなくていいとか、太ったとか、そういう容姿に関することは言わないで欲しい」と配信などで伝えています。僕はいつもかわいく、かっこよくありたいんです。

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取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
構成:五月女菜穂
撮影:曽我美芽

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