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誰かと買い物をすると、一緒にごはんを作りたくなる

きじまりゅうたと推しスーパーへGO! #6

LIFE STYLE
2023.07.05

きじまさんは言いました。「最近、改めてスーパーの楽しさに気付いちゃったんですよね」。誰かの「推しスーパー」に行って、一緒に買い物をしたら、もっと楽しいかも!というわけで、この企画が生まれました。スーパーを案内してもらうお礼は、買った食材で作るきじまさんの即興料理です。さあ、出かけましょう。

ゲストとの待ち合わせ場所へ!

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しらい

きじまさん、こんにちはー!一般応募のしらいのりこですー。

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きじま

こんちわー!まさかこんな風に会うなんて思っていなかったよ!

そう、今回のゲストは、料理研究家のしらいのりこさん。アイスムの企画にも何度かご登場いただいていますが、なんと、この企画の取材協力募集に自ら応募をしてくださいました。

一緒にお買い物する人:しらいのりこさん

料理研究家。雑誌や書籍、テレビなどで活躍。米農家出身の夫、シライジュンイチさんとともにごはん好きの炊飯系フードユニット「ごはん同盟」としても活動しています。近著に『ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65』(山と渓谷社刊)。

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きじま

しらいさんが応募してきたってきいて、びっくりしたよー(笑)。

しらい

記事を読んで、楽しそうだなーと思って。私も好きなスーパーを案内したくなっちゃったの。

スタッフ

二人は昔からのお知り合いですか?

しらい

10年くらい前にテレビのロケで一緒になって、そこで親しくなりました。

きじま

頻繁に会うわけではないけど、時々連絡して飲みに行く、くらいの仲ですね(笑)。

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しらいさんが連れていってくれたのは「イキイキ生鮮市場東陽町店」。生鮮市場という名前の通り、生鮮食品がウリのスーパーでした。

しらい

まず、あのお店のいいところは、営業時間。8:00〜23:00なの。

きじま

朝が早いんだね。それは助かるなー。

スタッフ

夜も遅くまでやっていると、仕事帰りでもあせらずに買い物できますね。

きじま

仕事の買い物もここでしているの?

しらい

仕事用には何軒かのスーパーを利用するから、ここだけ、ということではないんだけど。ここは個人的な買い物も多いから、週に3回は寄っちゃう。

きじま

個人的な買い物って興味あるなー(笑)。何を買うのかな。

しらい

見て欲しい売り場があるの。案内しまーす。

きじま

で、しらいさん、今日は何作る?

しらい

え!?私は作らないよ〜。きじまさんが料理作ってくれるのを眺めて、おいしく食べる企画でしょ?

きじま

何言ってるの。しらいさん料理研究家なんだから作らないと。

しらい

作らないよー。

今回、店内撮影はしませんでしたが、いつも通りスタッフとともに入店。ああだこうだとおしゃべりしながら、店内を2周以上回遊しました。

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きじま

買い物終了〜。いやぁ、おもしろかった。魚売り場も肉売り場もサイコーだったね。

しらい

でしょ。私はいつも行っているのにテンションが上がっちゃって、つい買っちゃった。

きじま

よし!では、しらいさんちに行きましょう。

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買ってきた食材で、料理の作戦会議

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しらい

このロケ、買い物だけでもあんなに時間をかけるとは思ってなかったよ(笑)!

きじま

ははは、買い物が一番大事だから。でもちょっとくたびれたから、休憩ってことで少しビール飲んじゃいましょう。暑かったから、思わずスイカも買っちゃったなー。

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買ってきた食材その1はこちら。商品の安さも魅力的でしたが、なんといっても、肉と魚の売り場がおもしろかったので、今回は肉と魚がメイン。

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まぐろとしらいさん、あじときじまさん

しらい

刺身がすごくいいの。天然ものもけっこうあるし、まぐろもカツオも、大きいサクなのにリーズナブルな値段で。おすすめの食べ方を思い出しちゃった!

きじま

料理は作らないって言ってたのに、魚売り場を歩いていたらどんどん作りたいモードになったね(笑)。

しらい

最近出した本で紹介したおつまみ作ります?

きじま

いいねー、お願いします!僕は丸ごとのあじで一品作ろうかな。豆あじでもなく、大きすぎもしない真あじが8尾入りで、ちょうどいい感じだったから。

スタッフ

丸ごとの太刀魚があったり、カニが安かったりと、充実の品揃えでしたね。

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きじま

肉売り場もよかったなー。

しらい

私が心の中で「ハナマサ(※)コーナー」と呼んでいるコーナーもよかったでしょう(笑)。
※「肉のハナマサ」は関東を中心に展開している、容量の大きいパックが多い、業務用スーパー。一般の人も買い物ができる。取材記事はこちら

きじま

鶏肉の袋の大きさもハンパないし、クリスマスでもないのに丸鶏があったし(笑)。バラが骨付きの完全なブロックで売っていたりと、かなりおもしろかったね。

しらい

見ているだけで楽しくなる。

きじま

バーベキューとか、パーティをやりたくなるね。

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しらい

鶏レバーの品質もとってもいいの!

きじま

うんうん、よかった!それで今回買ってきたんだよね。

スタッフ

品質って、どこで見分けるんですか?

きじま

見た目でわかりますよ。色がきれいだし、ぷりぷりだよ。いい色だ〜。

しらい

これをね、低温でゆでるだけでおいしいの。

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きじま

砂肝もあったから、僕はこれを炒めものにしようと買いました。内臓類が充実しているのもよかったね。品揃えの幅が広い。

スタッフ

皮なしの鶏むねチャーシュー用なんてあって、感激しました!

しらい

さすが、筋トレ系スタッフさん(笑)。

きじま

肉も安かったなぁ。

しらい

私、肉の価格は、株価を見るように常にあちこち観察してますけど、あそこはいつも安い!

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買ってきた食材その2。野菜と、ちょっと気になった商品も買ってきました。

きじま

野菜その他は、勢いで買った感じ。選んだ肉や魚に何を合わせようかなーと考えながら選んだね。

カメラマン

焼きそばとウインナーは、お腹が空いていたからカゴに入れました。後で炒めてまかないにしましょう。

しらい

納豆はきじまさんがカゴに入れてたね。好きなの?

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きじま

初めて行くスーパーでは納豆売り場は必ずチェックするようにしてんの。

しらい

なぜ納豆?

きじま

納豆って、とても身近な食品だから。安い納豆でも、いろんなメーカーのものがあったり、粒の大きさもいろいろ選べたりするスーパーはいいなと思う。お客さんにとって選択の幅があるというのは、食に対する向き合い方を感じて、いいと思うから。

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きじま

今回のスーパーでは、煮豆のコーナーが充実してたね。惣菜も気になるんだよねー。

しらい

私は今まであまり気にしてなかった。

きじま

煮豆をよく食べるのはちょっと上の年代でしょ。僕にとっても懐かしい、子どもの頃の味なんだよね。こういうものをたくさん売っているってことは、お客さんの年代の幅も広いのかな、って想像する。今日はみそピーナッツまであったし!

しらい

なるほどね〜。

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しらい

あの店の萌えポイントは、魚や肉の種類が多いところですね。いろいろ選べるって、とても大事なことだと思います。鶏肉はももとむねだけ、魚はまぐろとサーモンだけ、というお店はあまり楽しくない。そうなると、食をコントロールされているようで、残念な気持ちになっちゃう。もっといろいろな食の提案をしたいもの。

きじま

そうだね。コストや再現性を考えると、レシピに使う材料の選択肢が狭くなりがちなんだけど、実際にはもっといろいろな食材があるわけだからね。

スタッフ

それは、企画を提案する側としても考えさせられますね。誰もが作りやすくと思って食材を限定しちゃうと、新しいものを知るチャンスがなくなっちゃう。

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きじま

というわけで、今日は鶏レバーも砂肝も、丸ごとの魚も料理しますよ(笑)!

しらい

簡単につまみが作れる刺身メニューもご用意しました(笑)!

二人で同時に料理スタート!

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きじまさん、しらいさん、二人ともエプロンをつけてキッチンへ。二人が気になった食材を使って、それぞれ調理することになりました。

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きじま

何やってるの?

しらい

刺身用のまぐろとかつおに少し塩をして、ペーパータオルで包んでおくの。こうすると、くさみが取れておいしくなるから。

きじま

そういうちょっとした下ごしらえ、大事だよね。

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しらい

これで冷蔵庫に入れれば、翌日でもおいしく食べられます。少しおく間に他の料理をやろうかな。

きじま

オレは砂肝の準備からやろうかな。銀皮(白い部分)に切り込みを入れて、手でむいちゃいます。

しらい

手でむけるのね〜。

きじま

包丁でもそぎ取れるけど、手でむいたほうがロスが少ないから。少しでも残さず食べたい(笑)。

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しらい

鶏レバーをゆでようかな。レバーは、水できれいに洗ったら、塩とにんにくを入れた熱湯に入れて、沸騰したら火を止めてふたをしておくだけ。

きじま

シンプルだね。うまそー。

スタッフ

余熱で火が通るんですね。

しらい

少し厚手の鍋のほうが、保温性があるからおすすめです。

スタッフ

もっと下ごしらえが面倒な食材なのかと思ってました。鉄分もたんぱく質もとれるからいいですね。

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鶏レバーの塩にんにくゆで(しらいさん)

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沸騰させた湯に塩を入れて(500mLに対して大さじ1くらい)、にんにくのスライスと一緒にレバーを入れます。もう一度沸騰したら火を止めて、ふたをして冷めるまでおくだけ。これでできあがり!

きじま

せっかく納豆とみそピーを買ってきたから、料理に使おうかな。ピーマンとしし唐辛子を炒めて、味つけに入れるの、どうかな?

しらい

おもしろい。いいと思う。

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ピーマンとしし唐辛子の納豆みそピー炒め(きじまさん)

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ピーマンとしし唐辛子は乱切りにして油で炒め、納豆とみそピーナツを加えてからめます。
「みそピーがちょっと混ぜにくかったけど、ちょっと甘みもプラスできて、味はいいですよ。今日考えた料理だけど、うまくいったな(笑)。」

きじま

あじは、エラとぜいごを取って、塩と酒を入れた湯でゆでまーす。

しらい

魚をゆでるのね。新鮮!

きじま

最近気に入ってるやり方なんだ。弱火でゆでると、魚の身がふっくらした仕上がりになるよ。仕上げにたれをかければ、煮魚感覚で食べられるから。

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ゆであじの梅ねぎだれ(きじまさん)

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ゆでたあじを器に盛って、梅干しとねぎ、酒、醤油を煮立てたたれをかけるだけ。
「オイスターソース味にしたり、たれの味つけ次第でアレンジもいろいろできますよ。」

しらい

じゃーん、豚ヒレ。これは、から揚げにしましょう。

きじま

いいねー、から揚げって大好き。

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しらい

あのですね、もっと豚ヒレも使うといいと思うんです。脂が少ないのに、やわらかくておいしい部位だから。鶏もも肉をしっとり仕上げるのは案外難しいけど、ヒレ肉は間違いなく、誰にでも上手に調理ができますよ。

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しらい

そぎ切りにして、たたいて薄くして。

きじま

肉たたきを使うんだね。いいよね、肉たたき。

しらい

ふふふ。道具で楽に上手にできることってありますからねー。

豚ヒレのから揚げ(しらいさん)

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醤油と酒などで下味をつけて、粉をつけて揚げます。素揚げのかぼちゃを添えて。

材料を切ったり、調味料を混ぜたり、コンロで焼いたり煮たり。二人は、それぞれの作業によって、するりするりと立ち位置を移動しながら、どんどん調理がすすみます。打ち合わせをしていたわけでもないのに、二人の息はぴったりでとてもスムーズ。さすがです!

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しらい

いいにおいがする!

きじま

砂肝炒めの仕上げだからねー。

砂肝ときのこの塩炒め(きじまさん)

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砂肝は塩、こしょう、酒をまぶして油で炒めていったん取り出します。フライパンにきのこを入れて、ふたをして蒸し炒め。しっとりしてきたら砂肝を戻し入れて、仕上げにちょっと塩こしょうを。
「砂肝ときのこは火の通り方が違うから、別々に炒めたほうがうまくできるんですよ。」

しらい

刺身はササっと調理ができていいですよね。つまみになるものをジャンジャン作りましょう。もう、調理しながら飲み始めちゃってるけど(笑)。

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かつおのキムチなめろう(しらいさん)

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かつおを包丁で細かくたたいて、刻んだキムチ、ごま油、コチュジャンとあえるだけ。 “なめろう”の韓国風味つけといった感じです。

まぐろの香り野菜あえ(しらいさん)

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醤油、からし、にんにくのすりおろし少々であえるだけ。
「いつもは生のクレソンとまぐろを合わせるんですが、きじまさんが手土産に持ってきてくれたゆでた山菜(もみじがさ)がおいしかったので、それをまぐろとあえました。香りのある野菜とまぐろ、辛子の組み合わせがいいんです。」

あじときゅうりの三杯酢あえ(しらいさん)

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塩もみしたきゅうりと、細切りにしたあじの刺身を三杯酢であえて、仕上げにごまを。

8品完成!さぁ、食べましょう

1時間ほどで続々と料理が完成しました。いよいよお互いの料理を食べる試食タイムです。

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※しらいさんの豚ヒレのから揚げ、かつおのキムチなめろう、まぐろの香り野菜あえ、あじときゅうりの三杯酢あえのレシピは『ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65』(山と渓谷社刊)に掲載されています。

あらためて、かんぱーい!

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きじま

お互いの料理を食べる機会なんて、なかなかないよね。しらいさん、結局たくさん料理作ってくれたじゃない。

しらい

私、一般応募のゲストなのにー(笑)。

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しらい

あのスーパーに行くと、安いものでも楽しめる、私生きていけるなって思えるんですよ。今はモノの値段がどんどん上がって、節約術が話題になっているけど、安い食材でも知恵さえあれば、いくらでもおいしく食べられると思うんです。楽しく食卓を豊かに、というのは今後のテーマです。

きじま

まさにそうだね。料理は、食を楽しむための技術なんだから。

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しらい

食べる知恵、という意味でも、きじまさんと一緒に料理をするのは刺激になりましたね。魚をゆでるというのはおもしろかった。

きじま

しらいさんのゆでレバーもよかったよ。どんな食材を選ぶか、どう調理して食べるかは、人によって違うから、それを知るのはおもしろいよね。

しらい

きじまさんのキッチンでの動きの美しさにも感動したし(笑)、一緒に料理をするのは楽しかったなー。

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始めは「料理はしません」と言っていたしらいさんですが、きじまさんと一緒にスーパーを歩いているうちに、気持ちが料理モードになっていったようです。
それは、楽しい会話があって、目の前に食材があるから。「砂肝を塩炒めにするなんておいしそう、だったら、刺身のあえものを作ろう」「野菜も食べたいよね」と、店内二周目の回遊では、互いに作りたい、食べたい料理のための食材選びとなっていきました。誰かと一緒に買い物をすると、料理が作りたくなるんです。

そして、誰かと買い物をした楽しい記憶は残り、ふだんの買い物の時にふと「鶏レバー買ってみようかな」なんて思い出して、新しい料理にチャレンジしてみるきっかけにもなるのです。あぁ、スーパーの買い物って楽しいですね!

推しスーパーを案内してくれる方募集!

きじまさんと一緒にいつものスーパーでお買い物しませんか?

「きじまさんにぜひ紹介したいスーパーがある!」「あのスーパーで買った食材で、きじまさんに料理してもらいたい!」「大好きな近所のスーパー、でもいつも同じものばかり買ってしまう…きじまさんなら何を買うだろう?」などなど、きじまさんと一緒にスーパーへ行ってお買い物をしてくださる方を募集します!

こちらのフォームから取材協力内容の欄に「推しスーパー」とご記入の上、紹介したいスーパーの店名をお送りください。

みなさんの「推しスーパー」、お待ちしています!

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取材・文:岡村理恵
撮影:鈴木泰介

アイスム座談会