作るよりも大変なこと

わが家の笑顔おすそわけ #37「献立の決め方」〜ぼくさんの場合〜

LIFE STYLE
2023.07.11

夕方になると母親がよく「今日は何にしようかな~」と冷蔵庫の中身とにらめっこしていたことを思い出します。当時小学生ぐらいだったぼくは、その言葉を聞いても「ただの母親の独り言」という認識で特に気にもしていませんでした。

ぼくは18歳で社会人になりましたが、家を離れてからも希望者は食事を作ってもらえる寮生活だったため、基本的に自炊に困ることはありませんでした。家を出たことで自分で好きなものを食べに行けるようになり、地元の有名なお店に赴いて食べ歩きなどもしていました。

しっかり自炊をしなければならなくなったのは、23歳の上京がきっかけ。アニメ会社に勤めるために、家賃補助圏内の三軒茶屋に家を借りることになったのですが…福島の実家の家賃が市営住宅で格安(約1万円)だったこともあり、初の一人暮らしの家賃はその約8倍!アニメ会社の給料は安いので、コンビニ飯やスーパーのお惣菜を買うとあっという間に所持金が尽きてしまう!日に日に命の危機を感じ「ごはんを作って節約しないと生きていけないな」と自炊を決心しました。

そこから2年間は「いかに材料を安く済ませられるか」との戦いで、料理や味付けなどは二の次。当時の救世主は「もやし」で、冗談抜きで毎日4袋購入し、鶏むね肉と一緒に炒めたり、レンチンしておひたしやサラダにして食べていました。ある台風の日に物流が止まってしまい、ぼくが入店するなり店員さんが「すいません、今日もやし入荷できなかったんです」と声をかけてきてくれてものすごく恥ずかしくなったことも…きっとお店の人たちからは完全に「もやしの人」と認識されていたことでしょう(笑)。

そんな生活も2年を過ぎるとさすがに飽き、もやし以外の安い食材にも目を向けるように。もともと料理が苦手ではなかったので、母親や祖母から様々な調理法を教えてもらい、おいしさを求めて料理をするようになっていきます。

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4年目あたりからはSNSを通じてどんどんレシピの仕事が入ってくるようになった時期でもあり、食材の購入の仕方がガラッと変わります。色々なジャンルの料理を作成しなければならないので、冷蔵庫に一通りメジャーな食材を入れておき、思いついたらすぐ料理を作り始められる状態にしておくようになりました。ちなみにその買い物の仕方は今になっても変わりません。

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冷蔵庫の中で賞味期限が短くなったり、しなびてきたものがあったら、その食材を使い切ることを目標に献立を考えます。

メインのお肉やお魚は冷凍庫にストックしてあるので、半日かけて解凍。使うお肉(たんぱく質)の量が少なめなら卵料理を1品追加。オムレツや卵焼き、汁物に入れることも多いです。副菜には納豆や豆腐、チーズなどのたんぱく質や、カニカマやちくわなどの練り物を使ってボリュームアップ+うまみアップ!最後に、味噌汁に残りの消費したい食材を詰め込み、夕食の完成です。

わが家では、毎月の食費の予算を決めていて、月末に余裕があったら家族で焼き肉などの外食へ行くことにしています。

なのでその楽しみのためにも、少し遠くの業務スーパーまで自転車で通い「できるだけ安くてよいもの」を購入したり、なるべく旬の食材を購入することで、食費を節約するように心がけています。

旬の食材は、店頭に安く並ぶのでとってもお得!例えば冬にズッキーニを購入しようと思うと、小さいもので250円してしまうのですが、これからの時期だときゅうり2本より太いサイズで100円だったり!しかも旬の食材は特に味が濃くておいしく、栄養価も高かったりするのでおすすめです。

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社会人になり上京して初めて、毎日ごはんを作るのってこんなにも色々な苦労があるんだな…と気づきました。家計を守るために安い食材を求めて走り回ったり、「この調理法はやったばかりだな」とか「味付けがかぶってしまった」「これだと子どもが好んで食べてくれないよな…」など悩みつつ献立を決めたり…。

そう思うと、母親が冷蔵庫とにらめっこしていた時に「今日はハンバーグが食べたいな!」など一言提案してもよかったのかもしれません。そしてもっと「おいしいね」「また作ってね」といえばよかったな…と後悔もしています。ぼくなら、その一言があるだけで、どんなに大変な料理でも「作ってよかった~」と思えるし、「またがんばろう!」という気持ちになれるから。今からでも遅くないので、ごはんを作ってくれている人には感謝というエールを伝えてみてはどうでしょうか。

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