「おかずリレー」でポテサラが春巻きに。献立ルールで楽しくおいしい食卓を

となりのおうちの「1週間ごはん」#14

PEOPLE
2023.07.13

普通の家庭のリアルな1週間のごはんを紹介するシリーズ「となりのおうちの『1週間ごはん』」。今回は、3人のお子さんを育てながら、食についての音声配信をしているvickeさんのお宅に訪問しました。買い出しや献立作りに「マイルール」があるというvickeさん。忙しい中でも最大限に料理や食事を楽しむ工夫について伺いました。

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vickeさん

9歳、7歳、4歳の母。栄養士の資格を持ち、チェーン系カフェのキッチン担当やデイサービスでの食事作りなど、料理に関する仕事を続けてきた。2021年から2023年3月まで、保育園の栄養士として勤務。退職後、家事代行の仕事をしながら、音声配信サービスでレシピや献立作りについてのトークを配信し、自宅にて料理教室も行っている。

習い事がある日は、「麺の日」でうどんを茹でるだけ

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——ではさっそく、月曜日のごはんから見ていきましょう。


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サーモンとしらすの漬け丼、けんちん汁、高野豆腐の含め煮


土曜日か日曜日の朝に次の週の献立を1週間分決めて、それから買い出しに行くんです。月曜から木曜の間に1回は魚料理を作ることにしていて、それが月曜日になりがちですね。

——サーモンを醤油だれで漬けにしたんですか?

このときは塩麹でたれを作って漬けにしました。娘二人は刺し身が好きなのですが、息子は食べないからしらすだけ。野菜も基本的に食べないので、野菜もほぼ入れていません。

——買い出しはスーパーに行くんですか?

今はそうしてます。前は、野菜は産直で買って、お肉はお肉屋さんで買って、と食材ごとに店を回っていたんですけど、そうすると半日かかっちゃうんですよね。だから今は、野菜と調味料は宅配で届けてもらって、お肉や魚などはスーパーで買っています。

——家族5人だと量も多そうですもんね。


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豚の生姜焼きと千切りキャベツ、けんちん汁(昨日の残り)、ポテトサラダ


——お、けんちん汁が続投している。

これ、私は「おかずリレー」って呼んでいます。一度にできるだけたくさん作って、翌日や翌々日にもそれを活かすように献立を考えるんです。ポテトサラダは水曜日も出てきますよ。マッシュポテトを大量に作って、当日食べる分だけマヨネーズときゅうりとハムを入れました。マッシュポテト部分は冷蔵しておくんです。

——なるほど、生野菜を入れなければわるくなりにくいですもんね。


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肉うどん、ポテトサラダ(昨日の残り)


水曜日は「麺の日」と決めています。水曜日は娘たちの習いごとの日なんですよ。仕事から帰ってきて、習いごとに連れて行って、帰ってきてから料理するのはけっこう大変で…。簡単にできる麺がいいなと思って、決めちゃったんです。この日はうどんを茹でた以外何もしていません。肉部分は、前日の生姜焼きをそのままのせました。

——素晴らしいアレンジ。麺の日が曜日で決まっているのは給食みたいでおもしろいですね。麺が好きだったので、麺の日楽しみだったな。

麺と決めると、その中でも思ったよりいろんなものが作れるな、と思いました。うどん、スパゲッティ、夏は冷やし中華にジャージャー麺…バリエーションが増えて、自分自身も楽しんでます。子どもたちはざるうどんが好きみたいですね。

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——ちなみに水曜日の習いごとは何をされてるんですか?

硬筆の習字です。実は私も一緒にやってるんです。子どもたちがのびのびと書いている字を見たら私もやりたくなって、一緒にペン字を習っています。

——わあ、いいですね!

残り物でバイキング。手間をかけずに工夫で楽しく


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お母さんのちょっとこだわりチキンカレー(先週末に作っておいた分)、にんじんとツナのクミンサラダ、きゅうりのヨーグルトサラダ、新玉ねぎの甘酢漬け


この日は週末に作っておいたカレーです。玉ねぎを炒めて、鶏肉、すりおろしたにんじん、トマト缶を入れて、最後にカレールウを2個だけ入れるというレシピ。最近、ルウだけのドロッとしたカレーがあんまりたくさん食べられなくなってしまって…。

——わかります、油脂が多いから年々重たく感じるようになりました…。

でも、カレールウを入れると味が決まるし、子どもたちの好きな味にもなるので、2個だけ入れるんです。「こだわり」とはいえ、そんなに時間はかからないので、月に1回はこのカレーを作っています。

——あと、にんじんとツナのクミンサラダ、おいしそうですね。

定期便で送ってもらっている野菜セットに毎回にんじんが入っていて、何本もたまってしまったんですよ。それで、この月は「にんじん祭り」としてにんじん料理をたくさん作っていたんです。すりおろしてドレッシングにしたり、キャロットケーキにしたり、フライにしたりと、いろいろやりましたね。その時に作ってみたのがにんじんとツナのクミンサラダ。おいしかったので、そのあとも何度か作りました。

——にんじん祭り、いいですね(笑)。

何度か開催されています(笑)。

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——カレーと副菜を一緒にのせると華やかですね。

息子は食べないからカレーだけなんですけど…。

——でもカレーにもすりおろしにんじんが入ってますからね!


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バイキングごはん(高野豆腐の含め煮、ドライカレー、ポテサラ春巻き、にんじんとツナのクミンサラダ、とりそぼろ、ほうれん草のおひたし、だし巻きたまごなど)


——バイキングごはんとは?

金曜日は献立を決めないんです。それで、残り物を大皿に盛ったり、鍋ごと出したりして、各自で自由にとって食べる形式にしています。残り物がなければ、レトルトでも、買ってきたお惣菜でもいい。何も作らなくていい日にしています。

——平日の終わり、疲れてますもんね…。ポテトサラダは春巻きの具になったんですね!

そうなんです。ポテトサラダはいろいろなアレンジがきくんですよね。ドライカレーは冷凍してあったものです。言ってしまえば残り物を出しただけなんですけど、バイキングにすると楽しいですよね。保育園の栄養士をしていたとき、行事食が頻繁にあったんです。行事に紐付けたイベントごはんにすると、子どもたちが喜んで食べてくれる。だったらうちでもやってみようと思って、こういう形式にしてみました。

——なるほど。冷蔵・冷凍庫整理にもなるし、いいことずくめですね。

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夏休みに給食ごっこをやったこともありました。給食で人気のメニューを聞いて、揚げパンとかフルーツポンチとかきゅうりのサラダとか、なるべく再現するんです。そして、それをバットに入れてキッチンカウンターに並べる。端から順に一つずつお皿にのせてもらうと、給食みたいでしょう。

——おもしろそう!

夏は組み立て式の流しそうめん機を使って、流しそうめんをすることもあります。外に出られなかった時期に、子どもたちが家でも楽しめることってなんだろう、と考えるようになりました。おかげで、アイディアがよく出てくるようになり、おうちごはんの楽しみが広がりました。

作りたい料理と子どもが喜ぶ料理、その接点を探す


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天ぷら(母からのおすそ分け)、そうめん


私の中では、月曜から金曜までの食事を作ったらもう終わり、という気持ちが大きくて(笑)。買い出しのついでにおかずを買ってくることもあります。この週は、実家に行って母が揚げた天ぷらをもらってきました。ありがたかったですね。

——天ぷら揚げるの大変ですもんね…。

かき揚げ、えび、イカ、あとは山菜かな。母は料理が好きなんですよね。私自身が食に興味を持ったのは、母と祖母の影響だなと思います。


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米粉のお好み焼き、焼きそば


——このお好み焼きは米粉なんですね!

水曜日は麺の日で、この週は土曜日もそうめんで…となると、全体的に小麦の摂取量が多いのが気になっていて。1年ほど前から、米粉に置き換えられる部分は置き換えてみているんです。子どもたちには、米粉だって言わないと気づかれないことも多いんですよ。

——ホットプレートでソーセージも焼かれているのがいいですね。好きなもの焼こう、みたいな。

ホットプレートを使う時は、みんなに協力してもらいます。なるべく調理に参加してもらって、自分は楽をする(笑)。

——焼いたりするの、楽しいですもんね。あ、手帳に献立を書いてらっしゃるんですか。

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とりあえずメインだけ書いておくんです。副菜はその日冷蔵庫にあるものを使ったりして、臨機応変にやるので、作ったあとに記録として書くことも多いですね。あと、端の方には「今月作りたいもの」をリスト化して書いています。作ったら丸をつける。主に季節の食べ物を使った料理ですね。

——山菜とか旬の魚とか、「食べておきたいもの」ってありますよね!4月は何をリストに入れていたんですか?

たけのこです。たけのこごはんや天ぷら、からあげなどをやりました。季節の食材の料理って、私は作ってみたいし食べたいけれど、子どもが喜んでくれるかはまた別なんです。だから、自分の作りたい料理をやるときは、子どもに喜ばれるものも一緒に作ります。例えば、たけのこの唐揚げをやるときは、鶏も一緒に揚げるとか。

——たしかにそうですね。まだ食べたことのない食材とかもあるだろうし。vickeさんは栄養士の資格をもっていらっしゃるんですよね。

はい。それで、今年の3月まで2年ほど保育園の栄養士をしていました。それまでもカフェのキッチン担当やメニュー開発など、ずっと料理に関する仕事をしていたんですけど、栄養士として働いた経験はなかったから、人生で一度はやってみようと思って、40歳の節目に挑戦したんです。保育園の栄養士なら、自分が子育てをしてきた経験も生かせるかなと思いまして。

やりがいのある仕事ですが、食の楽しみというよりも、栄養のことをまず考えなければいけないところが大変でもありました。今は家事代行の仕事と、食に関する音声配信をやっています。

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Oくん(4歳) ママ、おなかすいた〜。

じゃあお昼にしようか。作っておいたクレープに具材を巻き巻きして食べよう。

——お昼時にありがとうございました!クレープも、とってもおいしそう。

最近、私は家族のために料理を作るのが一番好きだ、と気づいたんですよね。子どもたちが小さいうちは、できるだけ一緒にいられる時間を大事にしたいと思っています。

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撮影:村上未知

アイスム座談会