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金澤ダイスケさんの「マヨネーズカルボナーラ」を作る

リュウジのレシピトレード #16 前編

PEOPLE
2024.05.01

料理研究家リュウジさんとゲストがお互いのレシピをトレードし、料理をしながら語り合う本連載。今回のゲストは、フジファブリックでキーボードを担当する金澤ダイスケさんです。伊地知潔さんと並んでミュージシャンきっての料理好きとして知られる金澤さん。リュウジさんとはテレビ番組で共演したことがあり、会うのは今日が2回目だとか。

今回、リュウジさんが作る金澤さんのレシピは「マヨネーズカルボナーラ」。マヨネーズと卵と粉チーズでカルボナーラのクリーミーさを表現するこのレシピに、リュウジさんは何を感じるのでしょうか?

ちょっぴり人見知りが抜けないリュウジさんと、おっとりした金澤さん。二人のゆるふわ&まったりしたトークも見どころです。

マヨネーズカルボナーラ

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材料(2人分)

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  • パスタ…200g
  • マヨネーズ…⼤さじ4
  • 卵…2個
  • パルメザンチーズ(粉)…⼤さじ4
  • パンチェッタもしくはベーコン…100g
  • 粗挽き⿊こしょう…少々
  • 塩…適量
  • オリーブオイル…⼤さじ1 

作り⽅

1. ベーコンを1cm幅に切る。
2. フライパンを中⽕で熱しオリーブオイルを⼊れ、1をカリカリに炒める。
3. ボウルに、マヨネーズ、卵、パルメザンチーズ、⿊こしょうを⼊れて混ぜる。
4. 鍋に湯を沸かし、塩を⼊れ、パスタを茹でる。
5. 2と茹で上がったパスタを3に⼊れ絡めて、お⽫に盛り、 上からチーズと⿊こしょうをかけたら出来上がり。

はたして、これは「カルボナーラ」なのか…?

金澤

リュウジさんのレシピをいろいろ見ていて、おいしそうだなと思ったらアイディアを拝借して作ったりしています。

リュウジ

料理が好きな人って、アイディアや要素だけをちょっと拝借して自分流にアレンジできるんですよね。

金澤

そうそう。レシピには著作権がないから。

リュウジ

僕も他の人のレシピはよく見ます。毎日なにかしら見てますね。よく外食にも行くし、料理のことしか考えてないかも。

金澤

料理研究家さんって、横のつながりはあるんですか?

リュウジ

いや、料理研究家って二人同時に呼ばれることがめったになくて、横のつながりが生まれにくいんですよ。だから、いろんな料理研究家さんに会えるこの企画は僕にとって貴重です。

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リュウジ

今日は「マヨネーズカルボナーラ」を教えてもらうんですけど、僕はカルボナーラにマヨネーズを使ったことがなくて。マヨネーズはどこのメーカーがいいですか?

金澤

どこのメーカーでもいいですよ。これ、本当に簡単なんですよ。10代の頃になんとなく思いついて、ずっと作っています。

リュウジ

それは期待できますね!

金澤

カルボナーラって本来は全卵を使わないじゃないですか。だから、はたして本当にカルボナーラと名乗っていいのか、自信はないんですけど(笑)。

リュウジ

原理主義というか、保守的な方には「これはカルボナーラじゃない!」って言われちゃうかもしれませんね(笑)。

ベーコンの厚さも焼き加減も、ぜんぶお好みで!

金澤

とはいえ手順はほぼ普通のカルボナーラなので、まずはベーコンを切っていきましょう。

リュウジ

厚切りのほうがいいですか?

金澤

厚切りでも薄切りでもお好みで。ベーコン抜きで作ったこともありますよ。

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ベーコンを1cm幅に切る

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フライパンを中⽕で熱し、オリーブオイルを⼊れる

金澤

オリーブオイルがないときは、油であればなんでもいいです。

リュウジ

料理ってそのくらい幅があるほうがいいですよね。

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リュウジ

ベーコンはカリカリにしますか?

金澤

カリカリでもいいし、やわらかめでもいいです。個人的にはカリカリにしたほうが、食感にギャップがあって好みですね。

酔うとカルボナーラを作るクセがある

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リュウジ

じゃあ、ベーコンを焼いている間に次の工程にいきますか。

金澤

そうですね。次は、卵と粉チーズとマヨネーズを「1:1:1」でボウルに入れてください。黒こしょうも入れて混ぜちゃいましょう。

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ボウルに、マヨネーズ、卵、パルメザンチーズ、⿊こしょうを⼊れて混ぜる

スタッフ

カルボナーラって牛乳や生クリームを使うレシピも多いですよね。

金澤

でも、カルボナーラ原理主義者からすると、牛乳や生クリームすら邪道なんですよ。

リュウジ

そうそう。カルボナーラ原理主義だと卵黄とチーズのみ。

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リュウジ

僕、酔っ払うとカルボナーラを作るクセがあるんですよ。昨日もホームパーティしてたんですけど、今日になって、昨日会った人から「カルボナーラおいしかったです」ってメールが来て。でも、酔ってたから作った記憶ないの(笑)。

金澤

いいですねぇ。ゆうべは何時まで飲んだんですか?

リュウジ

深夜の3時まで。金澤さんは、お酒は飲むほうですか?

金澤

飲むけど、リュウジさんみたいに長く飲めるタイプじゃないなぁ。

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リュウジ

僕のパスタのレシピって、フライパンで具やソースと一緒に麺を茹でるワンパンパスタが多いんですよ。イタリアンの保守的な人からは「ワンパンは邪道」って言われちゃう。

金澤

でも、ワンパンで作ると絶対おいしいんですよね。だって、麺がフライパンの中で具やソースの味を吸うから。

リュウジ

そうそう。僕も昔は「簡単」や「手抜き」のニュアンスでワンパンを提唱してきたんですけど、最近は「あえてワンパンで作ったほうがおいしい場合もある」と伝えてます。

マヨネーズの酸味のゆくえは?

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鍋に湯を沸かし、塩を⼊れる

リュウジ

料理をする人には「パスタを茹でるときお湯に塩何g入れるか問題」がありますけど、金澤さんはどんな感じですか? 僕は1%くらいなんですけど。

金澤

それでいうと1Lに15gくらいかな。でも、水も塩も計りません。感覚で入れて、味見する感じ。

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パスタを茹でる

リュウジ

パスタの太さにこだわりはありますか?

金澤

こだわりはないです。でも一時期、真鍮製のパスタマシーンで作る麺にハマってました。麺の表面がザラザラしてるから、ソースがよく絡むんですよ。

リュウジ

ザラザラ系の麺、おいしいけどあまり売ってないですよね。

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茹で上がったパスタをボウルに⼊れる

金澤

茹で上がったら、ザルにあげずにトングで麺をボウルに入れてください。そのほうが、熱い状態のまま入れられるので。いわゆる釜玉です。

リュウジ

アツアツだ!

金澤

もし水分量が足りないようだったら、茹で汁を加えてください。

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麺とソースを絡める

リュウジ

マヨネーズの酸味がどうなるのかが気になりますね。

金澤

酸味はね、意外と消えるんですよ。マヨネーズのクリーミーさだけが残って、ちょうどいい感じになる。

リュウジ

たしかに、すでにマヨネーズの香りがけっこう飛んでる。麺の熱が加わったからですね。

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金澤

じゃあ、ボウルにベーコンと黒こしょうを入れて混ぜてください。

リュウジ

水分量もちょうどいい感じ。ソースもいい具合に固まってますね。

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お⽫に盛り、 上からチーズと⿊こしょうをかけたら出来上がり!

金澤

盛りつけたら、さらに黒こしょうと粉チーズをかけましょう。これでマヨネーズカルボナーラの完成です!

リュウジ

めっちゃ簡単だった!レシピトレードでここまで簡単なのはめずらしいです。

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リュウジさんのマイブームはホームパーティー

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リュウジ

迎え酒しようかな。

金澤

僕は炭酸水にします。

リュウジ金澤

乾杯!

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リュウジ

うまい!もっとマヨネーズの味が強いのかと思ったけど、マヨっぽさは意外と消えますね。カルボナーラと言われてもぜんぜん違和感がないです。

金澤

意外とマヨネーズ感ないでしょ。

リュウジ

言われなかったらマヨネーズ使ってるってわかんないかも。これは目からうろこだわ。原点回帰というか、あらためて「簡易的に作るレシピ」の良さを思い出す味です。

金澤

これ、リュウジさんのレシピにありそうですよね。

リュウジ

ありそうなのに意外となかった。これってきっと、普通にフライパンで作ったらダマになりますよね。ボウルで混ぜるからダマにならないところがすごくいい。しかもザルも使わないし。

金澤

簡単でしょ。

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リュウジ

簡単に作るのも大事ですよね。長く料理研究家をやっていると、視聴者もレベルが上がってくるんですよ。僕は登竜門だから、みんなレベルが上がると他の料理家さんのレシピに行くの。で、いろんな料理家さんを転々として最終的にまた僕に戻ってくる(笑)。料理って毎日のことだから、簡単じゃないと続かないんですよ。

金澤

リュウジさんのレシピ、冷蔵庫にあるものですぐできますもんね。

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リュウジ

僕、最近よくホームパーティーをしてるんです。プライベートで友達に手料理を振る舞うのが楽しい。あらためて、「自分ってこんなに料理が好きなんだな」って思いますね。

金澤

昨日のホームパーティーでは何を作ったんですか?意識がある範囲で(笑)。

リュウジ

まずはビスマルクステーキ。ペペロンチーノオイルでステーキを焼いて、残った油で目玉焼きを焼いてステーキにのせるんです。あと、醤油じゃなく塩でブリ大根を作ってみたら、これが大当たりで。塩味と白ワインがよく合うんですよ。

金澤

聞いてるだけでうまいもん。

リュウジ

あと、ホタルイカを醤油と花椒で漬けたもの。これもすごく喜ばれましたね。

金澤

あ、それは絶対においしい。それで紹興酒を飲みたい。

スタッフ

金澤さん、「ホタルイカを醤油と花椒で漬けたもの」という説明で味の想像がつくんですね。

金澤

つきます、つきます。今、想像の中で味わってます。

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絶対音感はないけど、「絶対味覚」はある

リュウジ

金澤さんはマイブームとかありますか?

金澤

最近ね、XO醤をつまみに紹興酒を飲むのが好きです。

リュウジ

えっ、XO醤だけですか?

金澤

そう(笑)。

リュウジ

通っぽい(笑)。実は僕、XO醤って人生で1回も使ったことないです。干しエビとか入ってるんですよね?

金澤

そう、メーカーによって多少違うけど、基本は干しエビと干し貝柱とにんにくです。市販のものもおいしいけど、中華料理屋さんで「XO醤買えますか?」って聞くとけっこう売ってくれるんですよ。それがめちゃくちゃおいしい。

リュウジ

それは知らなかったわ~。

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リュウジ

金澤さんはきっと感覚派というか、あまりレシピを考えなくても最終的においしいものを作れちゃう人ですよね。

金澤

そうかも。僕、料理を食べたら、ある程度は何が入っているかわかるんですよ。絶対音感はないけど「絶対味覚」はある。

リュウジ

僕もわりとそうかも。この前、「天下一品」のラーメンを再現したんですよ。豚骨スープや鶏ガラスープの舌に残るとろみを再現したくて、鶏肉や野菜をミキサーにかけたものにゼラチンを入れたんです。すると、かなり正確に再現されました。

金澤

「絶対味覚」だ!僕は料理にゼラチンを使ったことはないなぁ。いやぁ、リュウジさんさすがです。

後編に続く

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取材・文:吉玉サキ
撮影:村上未知
アイスム座談会