A or Bどっちを選ぶ?私の愛する選択肢たち v.05 結婚して田舎に嫁ぐ? or まだ東京で生きていく?

2019/03/25 UPDATE

外資IT勤務のユカリと申します。「33歳、都内勤務、独身の女」というひとつのサンプルとしてできるだけ客観的に私自身の人生を振り返りながらこちらの連載を書いています。これまでは大学受験大学在学中就活新卒で入った会社での話を書きました。
それぞれ書いてきた通りの選択をしたからこそ今の私がいます。もちろんそれら全てにおいて後悔はしていませんが、違う選択肢を選んでいたらどうなっていただろうかと思うことはあります。
今回は私の人生で初めて結婚するかどうかを考えた時の話です。その時結婚していないから今も独身なのですが皆さんにも、もし自分だったらどうしていただろうと想像してもらいながら読んでもらえたらうれしいです。

よくある社内恋愛、ではなく

結婚するかどうか悩んだ人とは、新卒の会社で私のメンターになった男性だった。これだけ書くとどこにでもありそうな社内恋愛のように見えるが、実際に彼と一緒に働いていた時は恋愛関係になることは全くなかった。彼は北陸の立派な家庭に生まれた長男で数年の間は東京で働くことが許されていたものの、そのあとは地元に帰って家を継がなければならなかった。
その会社でここまで惜しまれながら退社した人は後にも先にも見たことがないというほど円満に退社し、彼は実家に帰った。
私はやっと一通りの仕事を覚えたか覚えていないかくらいの時期だったので「困ったらいつでも連絡していいよ」という言葉に甘え、最初は本当に業務上での質問をしていたがだんだんと愚痴を聞いてもらっているうちにすっかり好きになってしまった。そしてついに言ってしまう。
「今度の三連休、そっちに遊びに行ってもいいですか」

また遠距離恋愛

連載第1回目に登場した彼も私が大学に入った後もすぐに別れることはなく、いわゆる遠距離恋愛をその後1年半ほど続けていた。当時はLINEもなく連絡手段がメールか電話のみだった。お金もないので頻繁に会いにいくこともできないし、それはそれは寂しくつらい思いをした。もう遠距離恋愛なんて絶対にしない。はずだったのに、久々に心から大好きになった人もまた遠くに住む男だった。しかし若い私は過去に味わった痛みを忘れ一切躊躇することなく新幹線と特急を乗り継いで彼の住む街に向かった。結果としてその時は保留されたものの、その一ヶ月後に付き合おうと言ってもらうことができた。晴れてまた、遠距離恋愛の始まりである。会社の後輩から彼女という立場になってしまえばたがが外れたようにすっかり甘えてしまい、精神的にどっぷりと依存していた。お互いの経済状況を圧迫するほどに頻繁に会っていたし、しょっちゅう長電話をして彼を拘束した。
何となくだが自分の中で彼と結婚するのだろうと思っていて、それならば彼がいる場所に嫁ぐことになるわけで、新卒で入った会社でこんな心身共に限界に近い状態で働いていることは意味のないことに思えた。そもそも自分が30歳になった時に同じ仕事をしていたいかと言ったら絶対に嫌だったので2年目の終わりに退職した。誰よりも元気そうに見せていたし、成績も良かったので周りにはとても驚かれた。

結婚、すなわちそれは東京を出ること

営業事務の仕事に転職して以前よりは仕事が楽になったものの依然として彼には甘えてばかりの付き合いだった。転機は彼が地元に帰って1年弱、公務員試験に受かったことだった。電話越しに彼は言う。
「受かったよー!結婚しよう」
その時何と言ってあげたか、正直もう覚えていない。もちろん言葉の限りを尽くして祝福はしただろうが、結婚しようという言葉に何と答えたか一切記憶にない。
社会人3年目、25歳の私は生まれて初めて冷静に自分が本当にこの人と結婚したいのか、そもそも誰かと結婚したいという願望があるのか考える場面に直面した。彼は来年から某県庁の職員になる。一緒に働いていた時から優しい。人として潔癖と表現したいほど曲がったことが嫌いな人なので浮気をするような人間ではない。結婚相手としては今振り返ってもベストなタイプだと思う。でも、私は決断できなかった。
25歳。世間(東京以外の地方は特に)では結婚適齢期と言われる年齢かもしれない。しかし社会人、会社員として考えたらまだ3年目だ。
親に無理を言ってまで高い学費を払って大学に行って英語を勉強したのにほとんど使わないような仕事をしている。私はこの東京に出てきて、何かを成し遂げただろうか。そしてそんなことを考えているということは、彼と結婚するべきではないんだろう。

つまらない関係の終わりは全て覚えているというのに、彼との関係の終わりはほとんど記憶がない。電話をして、結婚できないし別れようと告げた事実と、自分から別れを告げるくせに泣くなんて最低だなと自分に思ったことだけは覚えている。
結婚をしようとして最前線で営業をするような仕事を辞めたというのに、いざ本当に結婚するかどうかに直面して考えに考えたら「もっと東京で働いて成功したい」という結論に至ってしまった。安易な判断が招いた皮肉な結果であるが、この出来事が今後数年の私の生き方を決めることになったことは間違いない。あの時点で結婚していたらもう子供も二人くらいいたかもしれないと思うと、本当に一つの選択が大きく人生を変えることを痛感する。

皆さんだったら、どうしていたでしょうか。

今回はこのへんで。
では、また。

投稿者名

ユカリ

30代独身。都内で外資IT企業に勤務。
ジョブホッパーでメンタルが弱い。
ツイッターではナンパ師、恋愛工学生、「結婚して初めて人は一人前になる
と思い込んでいる既婚者、
キラキラマウンティング港区女子とよく揉めている。 Twitter:https://twitter.com/rita_sia22 note:https://note.mu/an_giee27