歌い手S!Nの「僕とデートしませんか」 その3:矢場町

2018/05/11 UPDATE

イケメンながらも過激な面白キャラで、若い女子を中心に大人気の、歌い手S!Nさん。そんな彼が、地元・名古屋のビミョ~な魅力をバーチャルデート目線で気ままに紹介します。


アイスム読者の皆さま、こんにちは。第三回のお届けにあがりました、S!Nです。

名古屋の街を紹介しながら僕自身のことも紹介する、というテーマのもと、S!Nと名古屋の街をデートしている女子の気持ちをS!N自身が妄想しながら書く、ちょっと変わったデートコラム。本日も張り切って更新させて頂きます。

第三回となる今回は、矢場町のとあるカフェに誘われた設定で。
S!Nをデートに呼び出した私(一人称は既に女子である)、緊張の1日をご覧ください。

たまには積極的に、自分から誘ってみた

「しんさん、明日予定ある?」
少し緊張しながら私は彼に連絡した。
雑誌で見かけたとある場所に一緒に行きたくて。
というより、連絡するきっかけが欲しかったんだと思う。

一緒に行ってくれるかな。楽しんでもらえるかな。
はやる気持ちがおさえられない。

迷惑じゃないかな、返事来るかな。
同じだけ不安も顔をのぞかせる。

なんで私はこんなに緊張しているんだろうか(笑)

『ある』

数分後に届いたたった2文字の通知。
すぐ返事するのがなんだか悔しくて、10分くらい待ってから返事をした。
「そっかー。行きたいところあったんだけど、また誘うね…」
さっきまでのワクワクがひとりだけのものだったんだって、自分だけ馬鹿みたいだなって思う。

「何時」
「えっ?」
「何時?」
「予定あるんじゃないの?」
「あるよー。でも17時くらいからでいいなら行ける。どこか知らんけど」

予定の有無を聞かれたから、あるって返した、って。
もっとないの!?コミュニケーション!!!!
面倒くさがりにもほどがあるでしょ…なんて思いながらも、来てくれることが嬉しくなってる。私は単純だ。

「撮影の後だからメイク落ちてないかもしれんけど、それでよければ」
ダメなわけがない。
明日はどんな服を着ていこうか。もう頭を悩ませている私はほんとに単純だ。
そんな女心に気付いてくれるようなタイプじゃないけどね…なんて自分を戒めながらも、楽しみで仕方ない。

矢場町の交差点で17時に待ち合わせ

17時。なんと待ち合わせ場所に彼がもう居た。

撮影の後とは聞いてたけど、やっぱり普段のゆるい雰囲気とは違う。
ちょっと格好良すぎる。
心の声を抑えた私のこと、誰か褒めてくれませんか。

「ごめんね、待たせちゃった」
「5時間待ったわ」
「絶対ウソ。時間通りに来るって思わなかった」
「早く終わったからねー。それに僕が遅刻したことなんてないじゃないですか?」
「あるでしょ!?」
思わず『自分が書いたアイスム初掲載コラムを読み返して!』なんてメタなツッコミをしてしまうところだった。あぶない。

「マスクとかしないの?すごい目立ってたよ」
「そこらへんの兄ちゃんが座ってるだけで目立つもくそもないでしょ」
「ファンの人に声掛けられたりしないの?」
「犬が歩いたからって棒に当たるとは限らなくないですか??」
うん、全然よく分からない例えだ。


「今日ね、カワウソがいるお店に行きたいなと思ってて」
そう。私はカワウソを見に行きたかったのだ。

「その前に寄り道してもいい?」
「いいけど、どこにいくの?」

「矢場町の名前の由来分かる?」
「矢があった場所、とかかな」
「えーすごいじゃないですか、頭に脳が入ってそう。すごいすごい」
ものすごく馬鹿にされてる。急に出されたクイズにどうやら正解したというのに。

矢場町駅4番出口より徒歩6分。
待ち合わせした矢場町の交差点からは徒歩3分くらい。
彼のうしろをついていくと、三輪神社というところに着いた。

「ここに神社があるなんて知らなかった」
「昔さ、京都の三十三間堂で“通し矢”ってのをやってたの。あのめっちゃ長い軒下を端から端まで矢で射通すってやつ。120mくらいだったかな」
「え、すごいね」
「そう、すごい。それで、そのための練習場所がここの境内にあった。だからこの辺りは“矢場”町って呼ばれてるんだって」

そういえば、さっきくぐった鳥居、両サイドにもちっちゃい鳥居がくっついてた。
「あれ、8の字にくぐってから参拝すると御利益が3倍らしいよ」
「なんの3倍なんだろ」
「分からんけどシャアみたいなもんじゃないかな」
…しゃあ?

「御神木には縁結びの赤い糸が結ばれててすごく綺麗だし、“幸せのなでうさぎ”もあるよ」
「至れり尽くせりね」
「君に幸あれって感じ」

境内にいると周囲の喧噪が遠ざかるような気がする。ほっとする場所だ。
しばらく散策してから、神社を後にした。

彼はどうしてここに寄り道したんだろう。何かお願い事をしたのかな。

私もお願い事をした。
良縁結べますように。
こっそりお願いしたこと、バレませんように。
あ、これじゃあお願い事2つになっちゃう。欲張りかな。

カワウソカフェで、可愛い動物と彼に目移り

地下鉄矢場駅4番出口より徒歩5分。
三輪神社からは通りを渡って徒歩2分。

大津通沿いの矢場町中駒ビル5階が今日の目的地。
その名も『かわうそフレンズ』だ。

「あー。このビル、RADHALLがあるとこじゃん」
「来たことあった?」
「友達とライブしたことがあるよー。懐かしい。歌い手の友達5人でユニット組んでね、初めてライブしたんだよ。そのあと6人になってまたライブしたなー。今はみんなメジャーデビューしたり、アニメのタイアップしたり、バンド組んだり、めっちゃくちゃ有名になっててさ」
彼が自分の仕事のことを自分から話してくるのはとても珍しい。
きっと良い思い出なんだろうな、優しい表情が印象的だった。

どんなライブだったんだろうと思い巡らせているうちに、エレベーターが5階についた。

店内にはいくつもケージがあり、カワウソだけじゃなくて、ハリネズミやプレーリードッグ、メンフクロウなどなど、たくさんの動物達が迎えてくれた。

「うーわ、めっちゃ走ってる。すごい早いすごい」
「可愛い~~!」
私、いまめっちゃ女子な声でちゃった。恥ずかしい。

ここでは追加料金を払うことで、眺めるだけじゃなく実際に触れあうこともできる。
スタッフさんから丁寧な説明があった後、カワウソとの触れあいの時間がやってきた。
ご飯が取り出されると、カワウソ達は元気に走り始め、彼の膝に乗って次から次へと求めてきた。

「めっちゃ可愛いけど、動き激しすぎてめっちゃ怖いんですが(笑)」
噛まれないように手をあげ、カワウソの様子に驚いている彼。
待って。カワウソ見ればいいか彼を見ればいいか分からない。

「他に触れあいたい動物はいますか?」
スタッフのお姉さんが優しく問いかけてくれる。
「いや、もう、どの子も。見てるだけで十分可愛いです」
妙に怖がってる彼。

「あっ、この子すごく可愛いー」
「そうなんですよーふわふわで可愛いでしょー!チンチラ私もすごくオススメです!」
「幸せそうに紹介してくれるお姉さんが可愛いです」
「おい」
チャラい。忘れてたけど基本的にこの人はチャラい。

でも、嬉しそうに動物を紹介してくれるスタッフさんの笑顔が本当に素敵だ。
そしてチンチラが、ほんとうにフワフワで可愛い!

その後も、ハリネズミやメンフクロウとふれあってお店をあとにした。

「楽しかったー!」
「カワウソあんな距離で初めて見たわ。食べられるかと思ったわ」
「怖がってたね(笑)」
「初めて触れる動物には誰だって恐る恐るになるやろ!」
「はいはい(笑)」
「ハリネズミとか大人しくしてても少しチクチクしてたし、フクロウの爪もめちゃくちゃ尖ってたし、みんな強そうだった」
「可愛いだけじゃないのも、ひとつの魅力ね」
「多分僕なんか一瞬で食べられるわ。気をつけよ」

帰り道、彼の視線は既にスマホに向かってる。ゲームに夢中で話半分だ。
「また行こうね」
「はいはい」

自分から誘うのはとても緊張したけど、勇気を出して誘ってよかった。
動物達は可愛かったし、恐る恐る動物と触れ合う彼の可愛さも思いがけなかった。
また行きたい場所思いついたら、軽率に誘ってみようかな。

「じゃあね」
「はーい」
スマホから視線を外さない彼の返事は軽い。

別れの瞬間はいつだって寂しいなって思う。楽しかった分、なおさら。
もっと一緒にいたいと思うのは、わがままなんだろうか。

「そういえば、今日の服なんか可愛いかったですね」

別れ際にずる過ぎるでしょ。
昨日の私は報われて、今日の私は幸せになった。

縁結びの神様、ありがとうございます。

はい!以上です!

今回は“女子側からのお誘い”というパターンにしてみたんですが、いかがだったでしょうか。

名古屋は本当に神社やお寺、歴史的な建造物が多いです。
中駒ビルの隣にも、矢場地蔵や、小林城跡案内板なんてものがありますからね。
歴史好きな僕にとっては散歩するだけで楽しい街です。

読者の皆様にも、3倍の御利益がありますように。

ではまた。


三輪神社
http://miwajinnjya.com

住所:愛知県名古屋市中区大須3-9-32

電話番号:052-241-7468

開園時間:9:00 ~ 17:00


かわうそフレンズ
https://twitter.com/kawausofriends

住所:愛知県名古屋市中区大須4-1-71 矢場町中駒ビル5階

電話番号:090-2776-3136

営業時間:12:00 ~ 20:00

 

(※掲載内容は2018年4月時点のものです)

 
リリィ

リリィ

今回のカメラマン。写真家として活動。アーティストの個性を引き出した臨場感あるライブ写真を得意とする。商業活動と並行してプライベートで撮影した写真の展示活動も行なっている。

Twitter:https://twitter.com/riricoramuphoto
HP:https://www.riricoramuphoto.net/