歌い手S!Nの「僕とデートしませんか」 その7:龍泉寺

2018/07/12 UPDATE

イケメンながらも過激な面白キャラで、若い女子を中心に大人気の、歌い手S!Nさん。そんな彼が、地元・名古屋のビミョ~な魅力をバーチャルデート目線で気ままに紹介します。


アイスム読者の皆さま、こんにちは。七回目の更新です、S!Nです。

名古屋の街を紹介しながら僕自身のことも紹介する、というテーマのもと、S!Nと名古屋の街をデートしている女子の気持ちをS!N自身が妄想しながら書く、ちょっと変わったデートコラム。今日も女子目線になりきって頑張ります。

名古屋にある日本で唯一のもの、何かご存知ですか?そう、ガイドウェイバスです!
今回はガイドウェイバスに乗って守山区へ。普段の観光では行かないようなスポットへS!Nと行ってきたわよ、私(一人称は既に女子である)。そんなデートをご覧ください。

梅雨明けの快晴日、彼と屋外デート

「暑いね」
「ほんとに暑い。なんでこのクソ暑いのに外出してんの。馬鹿でしょ絶対」
「家に居てもつまんないでしょって言ったの誰よ」
「絶対出掛けたくないけど、部屋に籠もってても名古屋を紹介するデートコラム書けないからね…」
完全にメタな表現が彼の口から溢れ出ている。でも出掛けたくないくらいの暑さだっていうのは否定しようのない事実だ。
梅雨も明け、夏だぞと言わんばかりに太陽が照り付けている。

「家が恋しくなるね」
「ちょっとエアコン背負って歩いてもらえません?」
「馬鹿じゃないの」
「じゃあ体温を0度まで下げるとかはできます?」
「ごめんね~しんくん、お姉さんにもそれはできないの。ワガママ言わないでね」
「あしらい方覚えてるんじゃねぇよ(笑)」
他愛のないやりとりもなかなか慣れてきたなと自分で思う。

「それで、今日はどこに行くの?」
大曽根駅で待ち合わせしたのなんて初めて。近くにドームがあるんだっけ。

「尾張四観音って知ってる?」
「えっ 「知らないでしょ」
答えるよりも早く遮られた。確かに知らないけど!

「徳川家康が名古屋城を築城するときにお城から鬼門の方向にあるお寺を鎮護として定めたものなんだけど、その一つに行ってみたいなーと思ってたので、行きます」
「へぇー」
いつものことだけど、全然わからない。

「全然わからなさそうな顔してますけど、よく毎度一緒に来ますよね」
「付き合ってあげてるのよ」
「一緒にいたいだけですか、なるほど」
「そんな 「今日はあれに乗っていくよ~」
また遮られた!

「ゆとりーとライン?今日はバスに乗るんだ」
「そう。でもあれ、バスだけど電車みたいなんだよ。というか日本にここしかない
「えっ、そうなの」
「ガイドウェイバスって言って、レールがある路線を半自動運転で走ってるらしい。しかもレールがあるところだけじゃなくて途中で路面バスに切り替わる」
「なにそれすごい」
言われてみれば“ゆとりーとライン”という文字が書かれた高架線を大曽根あたりで見かけたことはある。
てっきり高速道路か何かだと思ってた。

「これに乗って小幡緑地駅まで行くよ」
「バス停じゃなくて駅って扱いなのね」
「そこまで気にしてなかったけど、なるほど確かに。そういうことだ、きっと」

小幡緑地を散策して自然を満喫

大曽根駅からゆとりーとラインで約15分。
8個目の“駅”で私たちはバスから降りた。

「初めて乗ったけど渋滞もないバスって不思議な感じね」
「これができるまでは渋滞で1時間以上かかってたらしいよ。1時間あったら大阪まで行けちゃう」
「さっき言ってた尾張四なんとかはここにあるの?」
「もう少し先だけど、せっかくだし小幡緑地を少し散歩しよっかなって。クソ暑いけどね」
快適な移動の後に炎天下を歩くのは結構なしんどさだ。


「ここすごく広いね」
「そう、めっちゃ広い。もはや自然。6月の最初の方とか蛍を見るイベントもあるくらい自然」
「最近見てないなぁホタル」
名古屋市内にこんなに自然が残ってる場所があるなんて、考えたこともなかった。
小幡緑地は本園・西園・東園・中央園の4園からなる一体型緑地というものらしい。


「行く機会はほとんどないけど、結構でかい自然残ってるよね名古屋。猪高緑地、庄内緑地、大高緑地、あとは平和公園とか東山動植物園とか。広すぎて絶対歩きたくないけど」
「今も歩いてるじゃない(笑)」
「今この瞬間もほんと歩きたくねぇって思ってるよ」
園内の案内マップを眺めながら彼が言う。
「この木の道ってところを少しだけ歩いたら、尾張四観音の一つに向かおう」
「木の道」
「そう、ウッドデッキの遊歩道」

「あ、ちょっと涼しいかも」
「体感2度くらい涼しい気がするね。木ってすげぇな」
木の道と書かれた場所についた私たちはウッドデッキの上をのんびりと歩いている。
両サイドに生い茂る木々が日の光を遮って、森特有の涼しさを感じさせる。
喧騒から離れた森の静けさに包まれながら深呼吸。先ほどまでの熱気のこもった空気が嘘のような心地良い空気を感じる。

「なんだかマイナスイオンを感じるね」
「ほんとですか、僕にはそんな得体のしれないものは感じられないですけどね。そもそもマイナスが生じているなら同数のプラスも発生しているはずなので、そこでマイナスイオンだけ感じるというのは特別な器官か何かが発達した新人類なんでしょうか…」
こんなに心地良い森の中でどうやら私はめんどくさいスイッチを踏んでしまったみたい。
話をそらそう。

「朝のウォーキングとかには良さそうね」
「できれば歩きたくないけどな…」
「さっきからそればっかり(笑)」
静かな森の中で私たちの声だけが響いてる。今この瞬間ここは二人だけの空間だな、なんて。
そんなロマンチックを感じる余韻すら与えてくれないなこの人。


「そろそろ戻ろうか」
「えっと、尾張四観音!」
「おぼえましたね。えらいえらい」
雑な扱いだってわかっていても、褒められると嬉しい。

龍泉寺到着、歴史好きのテンション最高潮

小幡緑地駅からゆとりーとラインで2駅隣、竜泉寺駅。
徒歩だと10分くらいだろうか。

高台の上にあるお寺は、いかにも彼が好きそうだ。
きっと歴史うんちくが飛び出し続けるんだろうなぁと思いながら、それを楽しみにしてる私がいる。
まぁ何言ってるかは全然わからないんだけど。

「やっとついたー龍泉寺!!ずっと来たかったんだよな~。へぇ~かっこよ」
「ここはどんなお寺なの」
「1200年くらい前に最澄さんが熱田神宮で龍神のお告げを聞いて馬頭観音像を本尊として建立した、って書いてあるね」
「最澄は歴史の授業で習った気がする」
「空海さんも熱田神宮にいるときに八剣宮の内三剣を埋めて熱田神宮の奥の院とした、とも書いてある」
「空海も聞いたことある」
「最澄と空海の名前が残る由緒正しきお寺ってことだ!」
「なるほどすごい」
よく分からないけど、すごいと思う。

「そしてですね」
あっ、これは長くなる前置きだ…。

「ここに来るときに高台を上ってきたじゃん。昔は高い建物なんてないから、高いところから周りを見れるって大事じゃないですか」
「うん、なんとなく分かる」
「龍泉寺は周りに庄内川があって、崖があって沼があって、濃尾平野を一望できる。周りからは攻め込みにくいのにこっちは相手の動きが見えるわけですよ」
「うん」
「だから軍事的な価値が高かったみたいで、織田信行の居城があったらしい」
「のぶながじゃなくて?」
「信長の弟!信長に謀反した弟!テンションあがるでしょ!」
「う、うん…」
「桶狭間の戦いのときは信長が一隊をここに派遣してるんですよ!?やばすぎる」
そろそろついていけなくなってきたな…。
「しかも秀吉と家康が戦った小牧・長久手の戦いでも秀吉がここに陣を張ってるんですよ!そして最初にも言ったけど名古屋城を家康が作った時に鎮護として尾張四観音にしている。三英傑が全員関係してるなんて歴史ロマンすぎるでしょ…龍泉寺…最高…」
「うん、全然わかんない」
彼のテンションが高すぎて正直きもかったので、いつものようにへぇと聞き流せなかった。
「秀吉が退却した時と1900年頃に放火されて2度消失しちゃってるんだけど、2度目の時は焼け跡から大判小判が見つかってこれを元手に再建したらしいよ。これもロマンある」
「小判の話はちょっとロマンあるね」
「しかも裏手には日本庭園と今は宝物館になってる天守閣もあるんだよ。至れり尽くせりすぎるでしょ龍泉寺、好きとしか言えない」

興奮した彼をおいといて、境内には何匹か可愛らしい猫がいた。
天守閣の横を抜けると展望台から庄内川を一望できる。

「素敵なお寺だね」
「わかればいいんですよわかれば。ちょっと僕が説明した内容を復唱してもらっても良いですか?」
「うるさいのでその展望台から飛び降りてもらってもいいですか」
「すみませんでした」


「お参りもできたしそろそろ帰ろうか」
「そうね、たくさん歩いて疲れちゃったし」
「ねぇねぇ」
「なに?」


「今日も一緒に来てくれてありがとうございました」
「急になに!?」
「毎回僕の趣味に付き合わせてるからね、今日なんてこんなに暑いのに」
「えっ、全然いいよ」
「いいならよかった」
普段感謝なんてされないからびっくりした。なんで急に。


「私はしんさんと居れていつも楽しいよ、大丈夫」
前を歩く彼の背中に飾ってない本心を投げかけた。
そう、どこに行っても、何をしてても楽しい。彼となら。


振り向いた彼は悪い笑顔を浮かべてた。瞬間、察する。
しまった…釣られた。

「知ってますよ」

自信満々の彼の言葉。今日もまた彼に踊らされてしまった私でした。
あぁもう!

以上です!

今回はゆとりーとラインを利用して龍泉寺まで行ってきました。
ゆとりーとライン、ガイドウェイバスって名古屋独自の物なんですね、実は取材するまで知りませんでした。ハイテクだ。
そして小幡緑地、本園にある木の道と西園にある大きな滑り台が個人的に好きなポイントです。それ以外にもゲートボールができる施設とか、野球場とかもあり、地域住民の憩いの広場(広場と呼ぶには広すぎる)になっています。
そしてそして龍泉寺。歴史好きにはたまらない歴史を持っているこの龍泉寺ですが、近くには『竜泉寺の湯』というスーパー銭湯があります。元は『竜泉寺ウォーターパーク』という屋外プールで、そのまた昔は『ランズボローメイズ 竜泉寺の砦』というテーマパークだったらしいです。興味深い。
竜泉寺の湯は現在超グレードアップ大改装中とのことで。2018年11月下旬にオープンらしいので、また行ってみてください。実はここスーパー銭湯の先駆け、らしいです。諸説あるみたいですけどね。

今回紹介したのは初めて来た時に訪れるような観光名所とは言い難いですが、どこか行ってみようかな~と時間があるときには是非行ってみてください。
近くにチベット寺院もあるよー。世界観急に変わってびっくりする。

では、また。


ゆとりーとライン 名古屋ガイドウェイバス
公式Web:http://www.guideway.co.jp/
事業概要:http://www.guideway.co.jp/summary/index.html
ゆとりーとライン
※路線図・ダイヤ・時刻表などはホームページをご確認下さい。
※今回、名古屋ガイドウェイバス株式会社様にゆとりーとラインのお写真をお借りしました。ご協力大変ありがとうございました。

小幡緑地
https://www.aichi-koen.com/obata
住所:愛知県名古屋市守山区大字牛牧字中山1632-1
電話番号: 052-791-9492
営業時間:終日
※駐車場・園内有料施設に利用時間あり。詳細はホームページをご確認下さい。

龍泉寺
http://www.ryusenji.com/
住所:愛知県名古屋市守山区竜泉寺1-902
電話番号:052-794-3647
公開時間:9:00~15:30
※龍泉寺城(宝物館)は日曜・祝日のみ


(※掲載内容は2018年6月時点のものです)

ナオミコピタ

ナオミコピタ

今回のカメラマン。
写真を撮るヒゲメガネ。
名古屋でひっそり活動してる人。
Twitter:http://twitter.com/naomikopita Instagram:http://Instagram.com/naomikopita