受験生を応援!塾で帰宅が遅い日は、分食で乗り切ろう!

六車奈々の子育てコラム #36

FAMILY
2023.02.03

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受験シーズンがやってきましたね。追い込みで勉強を頑張っているお子さまも多いと思います。「何かやってあげられることはないかな。」と思っても、勉強や習いごとは本人が頑張るしかありません。家族にできることは、それを応援すること。この応援は、きっと大きな力になっていると思います。

応援の方法はいろいろありますが、「食事」もその一つ。

昨年は魚のDHA・EPAパワーで受験を応援する話を書きましたが、今回は「分食」のお話です。分食は、受験生だけでなく子どもの塾や習いごと、さらに大人が仕事で帰宅が遅くなるときにも、ぜひ活用していただきたい食事法です。

分食=夕食を分けて食べること

分食(ぶんしょく)とは時間栄養学の一つで、夕食を二回に分けて食べること。

本来、食事は「朝・昼・夕」の一日三回で、夕食は寝る3時間前までに食べ終えるのが理想的です。ですが塾や習いごとなどで帰宅が遅くなると、そうはいかないときもありますよね。このように夕食が遅くなる場合に限っては、「朝・昼・夕・夕」のように夕食を二回に分けて食べる方がメリットが多いのです。

分食のやり方は、こんな感じです。

1. 夕方に、おにぎりやサンドウィッチを食べて小腹を満たしておく
2. 夜遅く帰宅してから、消化の良いおかずを食べる


つまり夕食の一回目で炭水化物を食べ、二回目で消化の良いおかずを食べるということ。

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では、分食のメリットは何でしょう?
私は、「肥満予防」「もうひと踏ん張り!」「翌日も絶好調!」だと思っています。

分食のメリット:肥満予防&もうひと踏ん張り!

塾などで帰りが遅くなると、お腹はペコペコ!
「お腹すいた〜!」とガツガツ食べ、「おかわり〜!」ということになりますよね。

これが夕方なら、まったく問題ありません。育ち盛りの子どもたちですから、たくさん食べるのは喜ばしいこと。ですが帰宅が遅くなり、夜遅い時間からのドカ食いは、内臓に負担をかけることになってしまいます。さらに空腹で炭水化物をドカ食いすると、血糖値の急上昇が起こります。加えて夕方以降は血糖値を下げてくれるインスリンの分泌が少なくなっているため、肥満に繋がってしまうのです。

そこで分食です。夕方におにぎりなどの炭水化物を食べておくと、夜遅くに「お腹が空きすぎて食べすぎた」を防いでくれます。それだけではありません。そもそも塾や習いごとなどで夕食が遅くなるわけですから、ここで糖質をとってガソリンを補給することは、夕方からの「もうひと踏ん張り」のためにも、とても大切なことなのです。

こうして夕方に軽く炭水化物を食べておくと、帰宅後はゆったりとした気持ちで食事を楽しめますよ。煮物、お味噌汁、焼き魚など、育ち盛りの子どもに必要な栄養素は、ここでとれば大丈夫。

これは、大人も同じです。仕事で夕食が遅くなるときでも、分食をすることでウェイトコントロールが可能になりますし、夕方からのもうひと仕事も脳がしっかり働いてくれます。私は不規則な仕事をしているので、「帰宅は22時だ!」なんてこともありますが、そんな時はやはり分食をしています。夕方におにぎりを一つ頬張り、帰宅後は前菜のような軽いメニューやおつまみを楽しみます。あ、もちろんお酒は必須です(笑)。

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分食のメリット:翌日も絶好調!

人間の記憶力や脳の活動が活発なのは、何時かご存じですか?
こちらをご覧ください。

概日リズム

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これは、概日リズムです。概日リズムとは、一日周期の体内時計のこと。日中はしっかりと活動し、夜にはぐっすり眠って体のメンテナンスをするために、私たちが意識しなくても脳がホルモンや免疫、体温などを時間によって調整しています。

これを見ると、脳の活動が活発になるのは、ちょうど学校や仕事が始まるくらいから。受験も、同じくらいですよね。この時に脳をしっかりと働かせるためには、自分の体内時計を正しくリセットしておく必要があります。

体内時計のリセットについても、本コラムでは何度も登場していますね。
地球の自転は、一日24時間。ところが人間は少し長い約24時間10分という体内時計を持っているため、そのままでは日々地球とずれていってしまいます。そこで毎朝、地球に合わせて体内時計をリセットする必要があり、これを「体内時計のリセット」といいます。
朝に体内時計がしっかりリセットされると、人間が本来備えている概日リズムで過ごすことができるため、必要な時間に脳がしっかりと働いてくれます。

では体内時計のリセットは、どうすればよいでしょう?

人間の体内時計は二種類あり、「脳(中枢時計)」「脳以外の全身(末梢時計)」です。このため体内時計のリセットには、2ステップを踏む必要があるのです。

1. 脳(中枢時計) →朝日でリセット
2. 脳以外の全身(末梢時計) →朝食でリセット

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「食べるだけで、1日がこんなにも違う!?元気が出る簡単朝ごはん!」より

朝日を浴びてから1時間以内に朝食(炭水化物+たんぱく質)をとることで、二つの体内時計がしっかりリセットされます。体内時計をリセットできた日は、脳はもちろん、心も体もお肌も絶好調!充実した一日を送ることができるのです。

ところが、ここで注意が一つ。朝食で大切なポイントがあります。
「前夜から長い絶食時間を作れたか」ということです。

朝ごはんのことを日本語では「朝食」といいますが、英語では「breakfast」ですよね。
朝食の本来の意味は、「fast(絶食)」を「break(壊す)」こと。前夜からの長い絶食明けに朝食をとることで、全身の末梢時計が「地球に朝が来た」ということを知り、体内時計をリセットするのです。

夜遅くにドカ食いをすると、寝ている間も胃腸に食べ物が入っている状態。「長い絶食時間」を作れないまま朝を迎えることになってしまいます。この状態で朝に食事をしても「breakfast」にはならないため、全身の末梢時計はリセットされにくいのです。その結果、朝日を見て体内時計をリセットした脳(中枢時計)と、朝が来たことを知らない全身(末梢時計)で、体内時差ボケが起きてしまいます。

体の中で時差ボケが生じてしまうと
・寝たのに体がだるい、スッキリしない
・イライラする
・やる気が起きない
などの不定愁訴(なんとなく調子が悪い状態)だけでなく、生活習慣病につながることがわかっています。

その点、分食をしておくと夜のドカ食いを防げるため、「長い絶食」をしっかりと確保して体内時計をリセットできるのです。美と健康の基本は、体内時計のリセット。夜の「メンテナンスモード」から朝の「活動モード」にしっかり切り替えるためにも、分食は非常に大切なのです。

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ちなみに「長い絶食明けの食事が末梢時計をリセットする」とお伝えしました。ということは分食をしない場合、昼食から夕食までに「長い絶食時間」が生まれ、絶食後に食事を摂ることになります。すると末梢時計は、「長い絶食後に食べ物が入ってきたぞ!朝が来たんだ!」と勘違いして、夜に体内時計をリセットしてしまうのです。その結果、末梢時計が後ろにずれてしまい、またしても体内時差ボケが起きてしまうのです。

つまり「長い絶食明けの食事」にメリットがあるのは、朝だけ。それ以外に「長い絶食時間」を作らないことが大切です。だからこそ「3時のおやつ」は、意味があるのですよ〜。日常生活の中で「絶食」と「食事」の関係を意識することはあまりないと思いますが、実はとても大切なことなのです。

私は不規則な仕事をしていますので、何よりも体内時計のリセットを大切にしています。
夜遅くなる時のキーワードは分食!分食をうまく利用して、心も体も脳も絶好調な明日を迎えてくださいね。受験生の皆さん!応援しています!

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イラスト:あきばさやか
撮影:曽我美芽
ヘアメイク:岩川えり

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