
筋肉も、食事も、ムリしない。野田クリスタルさんの「緩やかたんぱく質生活」
筋トレ愛好家で、パーソナルトレーニングジム「クリスタルジム」の代表としても注目されている野田クリスタルさん。過去には過酷な食事制限やトレーニングに挑んだこともあるという彼が、今たどり着いたのは“緩やかな”たんぱく質生活でした。
筋肉づくりのための食事との向き合い方や、日々の習慣に取り入れられる「ちょっといい選択」について伺いました。
筋トレ黎明期は極端な生活でふらつくこともあった
ーー野田さんが現在の筋肉生活にたどり着くまで、どんな取り組みをされましたか?
僕が10年前に筋トレを始めたときは、まだネット上に情報も集まっていないし、プロテインも「ザバス」一択。コンビニにも売ってなかったんです。
そんな状況だから、まずは己の実践あるのみ。知識もないまま「やってみた」「鍛えてみた」って感じで、何が効果あるかわからないまま動いていましたね。まあ、なかなか成果は出ませんでした。
ーーちなみに筋トレに目覚める前の野田さんは、どんな食生活だったんでしょうか。
タバコを吸っていたし、基本的に食欲がなくて、全然食べてなかったんです。今思うと「よく生きていたな…」と思うくらい偏った生活でした。カップラーメンだけ、とか。ふらつくし、全然良くなかった。
ーーブレイク後、一気に仕事が増えて、運動時間の確保や会食のセーブが難しくなった時期もあったのでは。
本当に忙しかった時は、飲むことすらも難しかったですね。「せめて高いものを食べたい…」と、うなぎ、寿司、うなぎ…みたいな、味もわからずひたすら食べ続ける生活で。身体が何を欲しているのかさえよくわからなくなっていました。
ーーそこから、今のヘルシーな生活と身体をつくるために、生活を立て直したんですね。
はい。己の人体実験をして、たどり着きました。最初に伝えると、糖質抜きだけは本当にやめたほうがいいです。頭も働かなくなるし。僕だけじゃなくて、マッチョたちは極端なことをしては失敗を繰り返し、エビデンスをつくっていく。今の筋トレや食事のトレンドは、マッチョの屍の上に成り立っているんです。
ーーマッチョの屍の上に…。
筋トレ界隈ってだいたいみんなそうなんですよ。エビデンスがある、となってもまた「あの説は違うんじゃないか」と、常識がコロコロ変わっていくんです。
身体を絞りたいならトレーニングより先に知識をつけよう
ーー生活も、紆余曲折あって変わりましたか?
はい。最初は極端なトレーニングと食事制限をしていましたが、今はおいしいものを食べています。筋トレも、ケガをしないようにほどほどに。
知ってますか?食べ過ぎたって、脂肪って後から消せるんですよ。
ーーと、言うと…?
食事が脂肪として定着するまでは、猶予がしばらくあるんです。だから、多少食べ過ぎても罪悪感を持たなくても大丈夫。翌日までに動いて燃やせばチャラにできると前向きに考えればいいです。
ーー食べたら動けばいい、と。
そうです。栄養知識があると、ダイエットも難易度が一気に下がりますよ。まずは知識をつけるのが先です。
ごはんを諦めるのは無理だからこそ筋トレを
ーー世のマッチョの方々は栄養管理もしっかりしている印象があります。野田さんは具体的に普段の生活でどんなポイントを大切にしていますか?
食事に関しては、結構シンプルですね。基本的には脂質を控えめにしています。
無理なダイエットからの栄養不足って、すぐ身体に出るんです。僕の場合、ビタミン不足だと口角炎になるし、糖質不足だとふらついちゃう。これまで極端なこともやってきましたが、「何が不足するとガタがくるのか」を自分の身を持って体験して、今に至ります。
ーーたどり着いた今のスタイルは?
結局潔く食べる!そのために筋トレをする!
ーーとってもシンプルですね。
「筋トレをしろ!」ってよく言うんですけど、筋トレってダイエットのためじゃないんです。
「ダイエット=食事を我慢しろ!」から「筋トレ=ごはんを食べろ!」になるから、身体を絞る難易度が一気に下がるんですよ。
ーーそんな野田さんですが、ごはんが大好きなんですよね。
はい。今は永谷園のお茶づけブームがきています。一気にごはん3杯いっちゃうくらい。
ーー一食で3杯、結構いきますね。
普通のダイエットだったら、糖質過多なんです。でも僕はコメをやめられない。糖質大好きなんで。だったら、糖質とエネルギーが必要になるくらいの筋トレをしよう、と。繰り返しになっちゃうけど。
焼肉も「食べ方」を工夫すれば我慢しなくていい
ーーこの連載「きのう何作った?」には、なかやまきんに君さんがゲストに来てくださったことがあるんです。毎日トマトとささみとブロッコリーを召し上がるとおっしゃっていたんですが、野田さんはたんぱく質を意識されていますか?
僕、ささみとかサラダチキンとかブロッコリーとか全然食べられなくて。口に合わなくて、なんかだめなんです。でも、たんぱく質は結局なにかで補わないといけないので、プロテインだったり、ステーキだったりで取り入れていますね。
ーーマッチョの定番を外した食生活なんですね。
ちなみに、ゆで卵も脂質的に食べ過ぎは良くないと思っています。脂質と糖質のバランスでいうと、焼き肉とほぼ同じなので、「なんでゆで卵がマッチョの定番メニューなんだろう?」と不思議に思うこともあるくらいです。
ーー焼肉も、実は食べてもいいんでしょうか。
ハラミでもロースでも、それ単体で食べるならほぼ太らないですよ。たしかに脂質は過多になるけど、一発アウトではない。1日の食事をトータルで調整すれば大丈夫です。
ただ、焼き肉のときだけは僕もごはんは食べないですね。この組み合わせだとどうしても糖質と脂質の摂りすぎになりがちだから。ちなみに寿司なんかも、大トロなどの脂が多いネタを避ければバランスよくたんぱく質をとれますよ。
マッチョの食事は、すべてに意味がある
ーー普段のおうちごはんの定番メニューは?
わかめスープですね。レシピというほどでもない、検索したら出てくるようなシンプルなスープです。
ーー冷蔵庫の中には何を常備していますか?
おつまみとしての枝豆は常にストックしていますね。あとは大量のレバー。フライパンに油をひかずにレバニラを作ります。
でもまあ、基本的には、魚がメイン。切り身を買って塩を振って焼くだけですけど、スーパーに並んでいる旬のものはそれだけでおいしいですから。皮は脂があるので、削ぎ落として食べます。…自炊というほどでもないですけど、これで大丈夫ですか?
ーーいえいえ、立派な料理上級者です。
そうですか。筋トレ生活がずーっと続いているから、あんまり手間暇かけた料理は作らなくなりました。鍋とか、年中食べています。マッチョ鍋。
ーーマッチョ鍋とは?具材は何を入れているんでしょうか。
自由に、好きなものを。やっぱり海鮮が多いですかね。ビタミンは熱を加えると飛んでしまうけれど、鍋は全体の栄養計算がしやすいので便利なんです。
味付けはその都度変えますが、豚バラだけは入れないかな。やっぱり、脂質を減らしたいので。
ーー意味がないもの、とは?
脂質とか、お菓子。好きなんですけどね。お菓子って、栄養的には食べる意味があんまりないんですよ。
ーー甘いものの置き換えは、どうしたらいいんでしょうか。
和菓子は基本、OKと思ってます。あんこも大丈夫です。揚げ物は避けるけど、ポテチより和菓子の方がマシです。僕の中で黒糖ブームが来ていて、ふがしをストックしています。
デザートが我慢できないなら、フルーツにすることもありますね。りんご、パイナップル、みかん、キウイ、バナナあたりは僕もよく食べています。
ーーまず栄養のことが先にあるけど、心を満たすには?を考えながらうまく置き換えているんですね。
マッチョはすべての食事に意味があると考えて、目的のために食べている。たとえば焼き肉も「たんぱく質をとる」。米は「糖質をとる」。なんとなく口にするだけのものは「カロリー」でしかないですから。
ーーそう考えると、とてもシンプルですね。
「なぜ食べるのか」「なんのためにこれを食べるのか」と向き合うんです。腹持ちするために食べるのか、たんぱく質をとるためなのか、塩分を控えるためのメニューなのか。マッチョは常に考えてます。
ーーそんな自分の体の「揺らぎ」を肯定するためには、どんなマインドが必要だと思いますか?
やっぱり、基本は楽観的でいることが大事なのかなって。ちょっと食べすぎて太ってしまうこともあると思うんですけど、バストが大きいグラビアアイドルの方の中には、一度太ったあとでダイエットをした経験がある人も多いんです。だから、もしぽっちゃりしてきても、バストだけ残して痩せるチャンスだと思うようにしたらいいんじゃないかなと思います。
幸せのベースは食 笑わせる方も笑う方もカロリーが必要
ーー身体づくりに限らず、「食べること」について、野田さんが伝えていきたいことは?
お笑いって、笑わせる方も笑う方もカロリーがいる。笑えなくなったら、人は「ちょっと元気がないのかな」とか考えがちなんですけれど、実はしっかり食べていないからパワーが足りていないだけ、のパターンも多いと思うんです。
不幸を決めてるのは脳、っていうじゃないですか。脳ってことは身体、身体ってことは食。人それぞれいろいろあるし、全部の問題が解決しなくても、幸せだったらそれでいい。じゃあ幸せをどうつかむか?と考えると、結局食が大切なんですよ。まずは食べて、栄養に変えて。元気になりましょう。