堤人美さんに教わる季節のジャム作り・秋を感じるいちじくジャム

特集・旬を楽しむ #2

FOOD
2021.10.19

秋はいろんなものがおいしくなる季節。食べごろを迎えているフルーツも多いですね。そのままでもいいけれど、ジャムにして長くおいしさを楽しむのもいいものですよ。旬のいちじくを使ったジャム作りに挑戦してみませんか。教えてくださるのは、料理研究家の堤人美さん。初めての方にも作りやすいレシピを考えていただきました。前日に下準備をしておけば、作り始めてからは約30分で完成します。

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堤人美(つつみ ひとみ)さん

京都生まれ。大学卒業後、テレビやCMのフードコーディネートに長年携わる。家庭料理からハレの日のごちそう、和洋中にスイーツまで幅広いジャンルに造詣が深い。子どもの頃からジャム作りが好きで、毎シーズン様々なフルーツを使ったジャム研究を続けている。

材料(作りやすい分量)

はじめての方、またひとり暮らしの方でも作りやすいよう、「なるべく最小限で」をポイントに量を考えていただきました。

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  • いちじく…500g(皮をむいた状態)
  • グラニュー糖…250g
  • レモン汁…大さじ1

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いちじくに対しての砂糖の量は5割と考えてください。いちじくはよく熟しているものを使いましょう。皮がしっかりと紫色で、お尻のところが割れているものがいいです。砂糖はグラニュー糖がおすすめ。甘さがすっきり、色もきれいに仕上がります。

用意するもの

・鍋 

「ホウロウ鍋かステンレス製の鍋がジャムづくりには向いています。厚みのある鍋がいいですね。ミルクパンでも作ることができますよ」

・できたジャムを入れる瓶

「私は瓶専門のネットショップでいつも購入しています。ジャムを入れる前に、必ず煮沸殺菌をしましょう。と言っても、難しいことをするわけではありません。
水から瓶を入れて、沸騰したら20分ほど煮ます。ふたは3分ほど煮ればOK。」

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鍋の底にキッチンペーパーや清潔な布をかますと、瓶がぐらぐらと動かずヒビ割れの防止によい

「お湯から上げるときは、シリコンのカバーがついたトングがおすすめ。金属製のトングでふたをさわると傷がつくことがあり、そこから錆びて腐敗の原因にもなるんです。」

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「煮沸したあとは、拭いてしまうと菌がまたついてしまうので、瓶もふたも自然に乾くように置いてください。」

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作り方

1.  いちじくはざっと洗って、水気をふき、皮をむく。
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2. 手でざっくりと割っていき、ボウルに入れて、砂糖を入れてひと晩置く。
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砂糖をまぶして置くことで、いちじくからたっぷりの水分が出てきます。これを煮詰めてシロップにして、果肉と合わせてジャムにします。置くときは常温でOK。冷蔵庫だと水分がしっかりと出ないんです。ラップをして置いてください。
3. ザルなどを使って、果肉と水分に分ける。
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4. 鍋にまず水分のほうを入れて、強めの中火にかける。へらなどで全体を時折混ぜつつ、アクが出てきたら取り、しっかりと沸騰させる。
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底にたまった砂糖も忘れずに入れます
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全体を混ぜるときに使うヘラはシリコンのものがおすすめ。金属のものは色が悪くなることがあります。また他の料理に使った木べらなどは油を吸い込んでいることがあり、味わいに影響が出るかもしれないので、避けましょう。
5. 少しとろみが付いてきたら、果肉を加えてさらに加熱していく。このときもアクをとりながら、全体を混ぜていく。
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6. 軽くとろみがついたら、レモン汁を入れて全体をひとまわし。
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さあ、これで完成です。次はジャムを瓶に詰めましょう。「ジャムが熱いうちに、煮沸したての瓶に入れる」のが理想です。くれぐれも、やけどに気をつけて。瓶を持つときは、ミトンやしっかりした布手袋などを使ってください。

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ふたをしめる前に一度、反対方向にひねってから回すと、瓶とふたが平行になってしっかり閉められます。
なるたけ瓶いっぱいに詰めてふたをしてください。そして熱が冷めるまで、逆さにしておきます。こうして中を真空に近づけることで、保存性も高まります。

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「そのままでもちろんおいしいのですが、きょうはブルーチーズと合わせてみました。クリームチーズや水切りヨーグルトと合わせるのもおすすめ。私はいちじくのジャムならクロワッサンに塗るのが好きです。キャロットラぺの甘みづけや、ポークソテーに添えるのもおすすめですよ。」

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砂糖と合わせてからひと晩置くのはちょっと手間に思えますが、いざ作り始めてからは約30分ほどで完成するいちじくジャム。すぐに食べてもおいしいのですが、1カ月ほど寝かせるとワンランク上の味わいになります。

「そうすると砂糖の甘さと果物のおいしさがしっかりと混ざりあって、よりおいしいジャムになるんです」と堤さん。待てる方は、ぜひとも。

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堤さんには、また冬に季節のジャム作りを教えていただきます。フルーツのおいしさを凝縮させるジャム作り、次回もどうぞお楽しみに。

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取材・文:白央篤司
撮影:村上未知

アイスム座談会