子どもの食育は完璧じゃなくていい。六車奈々さん×あきばさやかさん対談

六車奈々の子育てコラム 特別編

2021.09.07

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子育てを楽しむためのヒントがたくさん詰まっている、人気連載『あいことばは、まあいっか』。本連載で育児コラムを執筆している六車奈々さんと、イラストを担当しているあきばさやかさんが初対面。これまでのコラムで印象に残っているトピックを振り返りつつ、お二人が考える「食育」とは何か、子どもとの向き合い方を語ります。

育児は大変だからこそ、面白おかしく。

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ーー初めてのご対面ですが、お互いの印象はいかがでしょうか。

あきば

六車さんは、コラムから伝わってくる印象そのままです。すごく明るくて、パワーあふれる感じ。いつも忙しいママに寄り添うような文章を書かれているし、食や栄養の知識をたくさんお持ちですよね。毎回めちゃくちゃ影響を受けています。

六車

本当ですか!嬉しいです。説教がましくならないよう、とにかく楽しんで読んでもらおうと考えていて。時には自虐ネタを入れて、「おもしろかった!でも何か役に立ちそうだし、やってみようかな」と思ってもらいたくて。あきばさんのイラストが入ることで、コラムの仕上がりが変わる。特に細かいお願いをしていなくても、私と子どもの世界感がちゃんと表現されていて。本当に感謝しています。

育児って、やっぱり大変なこともいっぱいある。でもそれをちょっとおもしろおかしく表現することで、ぷっと笑ってもらおうという感覚です。私の文章を読んだだけで、あそこまでのイラストを描いてくださるのは、あきばさんも近しい感覚なのかなって。

ーーこれまで15回以上コラムが掲載されてきましたが、特に印象に残っているコラムを教えてください。

あきば

いろいろ影響を受けていますよ。朝ゴマトマトも始めましたし、夜もしらすを食べています。ぬか床も買いました(笑)。

六車

えー!嬉しい!

あきば

「バナナうんち」も家でやっています。コラムをきっかけに、息子と一緒にうんちを見ることにしました。

逆転の発想!食育は、入口ではなく出口から攻めるが吉

あれは、娘が一歳半のとき。二人でお風呂に入っていると、…

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六車

初めて見たとき、どんな感じでした?

あきば

なんじゃこりゃ!でしたね。でも、今はうんちを見たがるようになって。「これを食べると、いいバナナうんち出るよ〜」と言っています(笑)。

六車

保育士さんの前で講演したときに、目から鱗だと言われました。便秘の子、多いんですよね。「食育をうんちから攻めるっていう発想がなかった」と。

娘のせりも野菜が嫌いだったけど、バナナうんちを出したいがために、頑張って野菜を食べたり、自分からアイスを我慢したり。しっかり食べて、いいうんちが出たらシールを貼って、小さな成功体験を積む。そして、また頑張って食べる。いい循環ができています。

あきば

めちゃくちゃいいと思います。息子は食べムラがあって、困っていたんですけど、「うんちになるために、ごはんさんお口に入りたいってー」というと、本当に食べるようになりました。

「がんばる日も、がんばらない日も、あなたらしく。」

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ーーおふたりがアイスムの連載で心がけていらっしゃることを教えてください。

六車

最初にコラム連載のお話をいただいたときに、「寄り添いたい」という言葉を伺ったんです。サイトのキャッチコピーにもありますが、がんばる日があってもいいし、がんばらない日があってもいい。いろいろな人に優しい気持ちで寄り添いたい、と。そのコンセプトに私は感動しました。

私も栄養や保育の勉強をして、「自分の考えに間違いがない」という自信があると、ついつい「これはこうだ」と分かりやすく明確に書きたくなるけれど、その度に、「がんばる日も、がんばらない日も、あなたらしく。」ということを思い出して。「あなたのことは否定しないけれど、こういうことはどう?」と優しい気持ちで寄り添うことを一番大切にしています。

あきば

アイスムさんの連載でも、自分で発信するときも同じなのですが、育児って、本当に正解がない。「トイトレは何歳まで」とか「指しゃぶりがどう」とか、結構デリケートな問題が多いですけど、なるべく誰も傷つけないことをテーマにしています。

そして、断定したり、一方的に情報を伝えたりしない。自虐や失敗も盛り込んで、「うちもこんなもんだから、あんまり無理しないで」というメッセージが伝わるように、心がけて描いていますね。

六車

それ、めちゃめちゃ伝わっていますよ!あきばさんのイラスト、癒されるもの。

あきば

ありがとうございます。インスタだと、ちゃんと料理して、盛り付けもかわいくて……という素敵なアカウントもたくさんあって、つい自分を追い詰めてしまうこともあるんですけど、なるべくリアルに、あんまりそんな力を入れなくて大丈夫だよという思いが伝わるといいなと思っています。

子どもの食育について思うこと

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ーー忙しい毎日の中で、子どもの食育はどうされていますか?

あきば

難しい問題ですよね。他にもやらせなきゃいけないことがたくさんあって、優先順位がやっぱりどうしても下がるというか。「保育園で食べてるからいっか!」みたいな…… (笑)。

六車

保育園でちゃんとしたものを食べているのは、安心ですよね。

あきば

保育園が始まって、すごく気持ちが楽になりました。それまで「私が作ったものだけで、この子の体ができている!」とプレッシャーだったんですけど、今は保育園にも頼らせてもらっています。

息子は食べムラがかなりあるので、何かしら食べればいいかなと思っていて……あ、でもしらすと納豆は食べています。

六車

納豆やしらすは、万能食材ですよね。納豆って、冷蔵庫から出してすぐ食べるよりも、少し置いた方がいいんですよ。そうすると勝手に納豆菌が増えるから。どうせ食べるんだったら、納豆菌がお腹にいっぱいいた方がいいので、食事の最後に納豆を食べるようにしています。努力いらずで、たくさん納豆菌を取り入れられます!

ーー食を楽しむために、どんなことを実践しているのかもお伺いしたいです。

六車

去年、娘のせりが「セリーヌ農園」と名付けたベランダでの家庭菜園を始めたんです。お父さんと子どもの時間を作りたいというのが当初の目的。好きな野菜を植えて、毎日水やりをする。それで収穫した野菜をお母さんに買ってもらうという取り組みです。娘はナスが苦手なんですが、自分で育てたナスが食卓に上がると食べる。これぞ食育だなと。

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あきば

食育というほどではないですが、最近ホットプレートを買ったんです。焼きそばやお好み焼き、たこ焼き、パスタ、パエリアなどを作るんですけど、一緒に作ると息子も楽しそうで。「青のり大臣」みたいに何か役割を与えると、まんざらでもない感じ(笑)。ちゃんと食べるようになってきています。

六車

いいですね、ホットプレート。うちもやってみよう!

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あきば

六車さんに相談してもいいですか?うちの息子は食が細いので、「食後にグミを食べていいよ」などとつい言ってしまいます。おかしで釣っているような感じもして、これでいいのか分からないのですが、六車さんはその辺りどうされているのかなと。

六車

うちは「ごはんを食べたら、おやつを食べていいよ」という言い方ではなく、「おやつはごはん食べた人しか食べられません」とルールを先に伝えています。言っていることは一緒なんだけど、ちょっとニュアンスが違うかな。ごはんを食べた人が初めておやつを食べる権利を持てるんです、と伝えています。

あきば

なるほど。

六車

きちんと理論を説明しないといけないところもあるとは思うんですね。だけど、決め事をしちゃうのも大事かな。「食べる前にいただきますを言うんだよ」と伝えるのと同じで、「おやつはごはんをちゃんと食べた子が食べられるよ」という言い方をしてると、本人もそういうものとして受け止めている。

その代わり、ごはんをちゃんと食べたあとに「おやつ食べていい?」と正々堂々と聞いてくるので、「おやつは一個ね」と伝えています。……けど、ついついね(笑)。

あきば

ついつい。でも、多分それが駄目なのかな。押せば行けると息子に思われているから。ルールがぐずぐずなのがバレているのかも。

六車

もう言っちゃったら?「発表します!ごはんを食べた人しかグミが食べられないことになっちゃったんです!」みたいに。その代わり、ごはんをちゃんと食べたときに、えらいと褒めてあげて、グミを食べるときもおいしいねと話す。そうすると、メリハリができてくる気がします。

あきば

なるほど〜。ちなみに、おやつは普通のおやつですか?

六車

あげてます。最初はなるべく砂糖の入ってないものとか、いろいろ考えていたんですけど、友達の家に行くと、市販のお菓子も出してもらうことがあるから、そこでダメというのも、かわいそうかなと思って。

それに、おやつは一日一個とルールにしているので、「ジュースを飲んだらアイスはないよ」とか「ケーキを食べたら、今日はグミないよ」とか伝えて。ただ、スルメはおやつに換算していないけど(笑)。

あきば

ありがとうございます。それを聞いて、なんだか安心しました。

自分を甘やかす時間も大切に

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ーーこれまでのお話で、お互いに共感する部分はありますか?

あきば

「手を抜くところは抜く、無理しない」ということを伝えてくださってるところに共感します。あと、働く姿をお子さんに見せているところ。

六車

私の場合仕事していて何がよかったって、子どもに依存しないことなんですよ。どうしても、自分の人生半分過ぎたと思うと、これから夢も希望もある子どもに自分の夢を被せてしまいがち。でも、子どもは子どもの人生を生きるのであって、夢に向かってどう生きていくかは本人のことだから。

自分の人生をしっかり歩きながら、子どもの人生に寄り添う。長い人生を考えたら、育児の期間は短いんですよね。あと何年一緒にいられるのかなと思うと、この時間を大事にしようと思う一方、この時間が終わったら、また自分の人生に戻るとも思うんです。今は大変だけど、仕事を続けることに意味があるんじゃないかな。

あきば

それは、仕事をしてないお母さんでも、言えることですよね。

六車

趣味とかね。

あきば

子育てだけになってないという姿を見せることも大事ですよね。

六車

そうそう。自分のためにも時間を使っていいと思います。

前に、小学生のお子さんがいるお母さんが「自分の時間がない」というので、「今何をしたいですか?」と聞いたんです。そうしたら「コーヒーを飲んで、本が読みたい」と。その時間を持てないくらい、家族のために頑張ってきていたんですね。

じゃあ家事の中で何が削れるか。優先順位で洗い出したら、掃除の時間だったんです。それで、「水曜日の午前中は掃除をやめましょう」と。その時間をたっぷり2時間でも3時間でも、本を読んでくださいとお話したことがあります。

そうやってちょっと休むことに罪悪感を感じるお母さんって結構いると思うんです。でも、自分のために時間を使うことも、エネルギーチャージのためには大切なこと。決してさぼっているんじゃない。お母さんが元気になることも大事な仕事だと思うので、ぜひ何かそういう自分が楽しいと思えることやって欲しいですね。

仕事が一番でなくてもいい。フラダンスでもお料理教室でも。何か自分のためだけに時間作って欲しいなと思いますよね。

ーー最後に、これからどんなことを発信していきたいか、改めて教えてください。

六車

育児が大変と思うお母さんが私の周りには結構多くて。育児で疲れちゃう方も見るんですけど、「大変さ」を楽しんでいきたいなと思います。はっきり言っちゃうと、理不尽だらけだと思うんですよ、子育てって。でも、その理不尽も楽しんじゃう。

何かちょっとしたことだと思うんです。本当に子どもは思い通りにやってくれないし、大変なんだけど、「セリーヌ農園」なんて、本人が嬉々としてやってる。

あきば

そうですね。育児はいろいろ大変なこともあるんですけど、どこかしらで面白い部分がある。一生懸命作ったピラフを床で拾っている時とか悲しいけど(笑)、それを描いて発信することで、見てくれた誰かが「私も同じようなことあるな」と共感して、楽な気持ちになってくれたらと。

産後すぐの頃は「自分よりも家族を優先するのが良い母」という勝手な思い込みがあって。もう髪もボサボサで、自分のことに時間を使わないで、子どものために全部をやって。そうしたら、本当に疲れちゃって、結果子どもや夫にあたるという時期があったんです。だからこそ、自分を甘やかしたり、モチベーションを上げるために時間を割いたりして、楽しく過ごして欲しい。そういうことも伝えていきたいです。

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六車奈々

京都府生まれ。1989年にモデルとしてデビュー。

女優、タレントとして活動しながら、2016年に“六車奈々の『食べる美人塾』”をスタートさせ、女性を対象とした美と健康に関する講演活動に取り組んでいる。

2019年には国家資格である保育士を取得。1児の母として自ら育児を楽しみながら、育児の楽しさと知識を伝える活動もスタートさせる。

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取材・編集:小沢あや
構成:五月女菜穂
撮影:馬場伸子(SIGNO)

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