長ねぎの味噌炒め/長ねぎと生ハムの重ね焼き/長ねぎと塩昆布のチヂミ

五感をひらくレシピ #13

2021.03.26

旬の食材を使った「五感をひらくレシピ」を、自炊料理家の山口祐加さんに教えてもらいます。今回のテーマは、「長ねぎ」。薬味として生で食べるイメージも強い長ねぎですが、火の通し方によってさまざまな味を楽しめるそう。長ねぎが主役になるレシピ三種、ぜひお試しくださいね。


春めいてきたこの頃。冬が終わってしまう前にどうしても紹介しておきたいのが名脇役「長ねぎ」の魅力。旬は冬の時期だけれど、年中流通している長ねぎ、1本で買うよりも3本入りを買った方がお得でついつい多く買ってしまい、食べ切るのが大変なんて声も聞く。

ねぎは薬味というイメージがあるようで、汁物や麺類にのせるか、刺身に添えるくらいしか使わないという人も少なくない。

生食は香りが良くておいしいのだけれど、火の入れ方によってイメージがぐんと変わる長ねぎのおいしさもぜひ知ってもらいたい。

強火で短時間で料理すれば、辛みは残したまま甘味も感じられる。ゆっくりと火を入れれば、トロッとした食感になり、まろやかな甘味が引き立てられる。今回は長ねぎを主役にした3つの料理をご紹介したい。

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長ねぎ・白ねぎと呼ばれているのは根深ねぎという品種で、おもに東日本で作られている。一方、西日本では青い部分が多い葉ねぎが好んで食べられているそう。確かに京都に住んでいた時は、ねぎといえば九条ねぎのことだった。

長ねぎの味噌炒め

数年前、我が家に友人を呼んで飲み会をしていたとき、食いしん坊が多くて用意した料理がすっかりなくなってしまったことがあった。でも客人の「まだお酒が飲みたいぞ」という視線を感じる。

何か一品作ろう、と冷蔵庫をのぞいてみるも、あったのは長ねぎ1本だけ。「う〜んこれで何ができるのか」と思ったが、こういう時こそシンプル料理だと、油で長ねぎを焼いて、醤油を垂らして出したらこれが大当たり!

少し焦げた醤油が長ねぎの甘味をさらに引き立てる。シンプル料理はやっぱり裏切らないな、と改めて思った。今日はその味噌バージョンをご紹介する。

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長ねぎは1本全て1cm幅の斜め切りにする。

フライパンにごま油小さじ1を加え、中火で両面2分ほど焼く。この時、触りすぎず焼き目をしっかりとつけるのがコツ。きれいに焼き目がつくと、小さくガッツポーズしたくなる。

焼いている間にみりん 大さじ1/2、味噌 大さじ1/2を混ぜ合わせてたれを用意する。火を弱火にし、たれを加える。全体に絡めながら1分ほど炒めて完成。

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ぜひ食べる前にお皿ごと鼻まで持っていって香りを楽しんでほしい。こってりとした味噌とねぎのうまみ、少し残っている辛味が混ざり合って感じられる、ふくよかな香りにお腹が鳴る。ごはんの上に乗せてもおいしいし、ビールに合わせてももちろん良い。あと何か一品欲しい!というときに、ぜひ。

長ねぎと生ハムの重ね焼き

下準備をしておけば、あとは焼くだけ、という料理を覚えておくと、何かと便利。帰りが遅くなりそうな日の朝、夜のために仕込んでおいたり、お客さんが来るときにさっと一品出せるように作っておいたり、意外と出番は多い。この長ねぎと生ハムの重ね焼きもその一つ。

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長ねぎを4cmに切り、丸太のようにさらに縦半分に切る。断面を上にして耐熱容器にずらっと並べ、その上に生ハムを乗せる。長ねぎの丸太で生ハムを挟み込むように、上から長ねぎの残り半分を乗せる。

上からオリーブオイルをたっぷりかけ、塩を少々。並んでいる長ねぎたちがなんともかわいらしい。

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魚焼きグリルかトースターに入れ、弱めの中火で4〜5分焼く。キューキューと焼けた音がするうちに、ささっと皿に盛り、最後に塩・こしょうをお好みで。

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長ねぎの焦げた香ばしい匂いにそそられて一口食べると、ジュワッとコクのある甘味と、とろっとした食感に包まれる。生ハムの濃厚な味が長ねぎと混ざりあい、かむほどにおいしくなる。この料理を食べる時、私なら白ワインは必ず用意しておきたい。多めに作っておいて、冷やして食べるのも良い。

長ねぎと塩昆布のチヂミ

長ねぎの白い部分に比べて、青い部分は食感がかためで薬味以外での使い道があまりない…という方は、このチヂミを作ってみてほしい。青い部分が大量消費できて、一枚じゃ足りないくらい、箸が止まらないおいしさがある。

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長ねぎの青い部分2本分を小口切りにし、ボウルに入れる。そこに小麦粉大さじ2、片栗粉大さじ1、水大さじ2、塩昆布8g前後、塩少々を加えよく混ぜ合わせる。今回は粉を少なめにし、長ねぎの舌触りをしっかり感じられるようにしているが、粉多めが好きな人は調整してもOK。

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よく混ざったらフライパンに大さじ1/2の油を熱し、生地を流し込んで中火で片面ずつ1分半〜2分焼く。その際に、フライ返しなどでぎゅーっと押し付けるように焼くと、焼き目がきれいにつく。最後に油大さじ1/2をフライパンの下に流すように加えて、カリッと仕上げる。お好みでごまをふって完成。

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そのまま食べるのも良いが、豆板醤と酢、醤油をお好みで混ぜたものをたれにしてつけるとよりチヂミらしくなる。青い部分ならではの食感が残り、噛んでいるうちに塩昆布のうまみが追いかけてくる。

顆粒だしや動物性タンパク質を使わなくてもこのおいしさが出るのは、火を入れた長ねぎの甘さのおかげ。もちろんエビや豚バラなど、そのとき冷蔵庫にあるうまみ食材を使っても大丈夫。お子さんのおやつにも◎

大人になってから、長ねぎの魅力にじわじわと気づきはじめた。まだ紹介しきれていない長ねぎ料理がたくさんあるので、じっくりと時間をかけてその魅力を掘り下げ、また改めて長ねぎ・第二弾の五感をひらくレシピをお届けしたい。

山口祐加

自炊料理家、食のライター。共働きで多忙な母に代わって、7歳の頃から料理に親しむ。出版社、食のPR会社を経て2018年4月よりフリーランスに。日常の食を楽しく、心地よくするために普段は一汁一菜を作り、ハレの日は小さくて強い店を開拓する。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。好物は味噌汁。

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