薬味ごはん/みょうがのナムル/たこぶつのねぎまみれ

五感をひらくレシピ #4

2020.07.03

旬の食材を使った「五感をひらくレシピ」を、自炊料理家の山口祐加さんに教えてもらいます。第四回のテーマは、「薬味」。薬味は「香りの魔法」だという山口さん。おすすめの「薬味ごはん」はおどろくほどシンプルで、そしておどろくほどおいしいです…!


ねぎ、みょうが、大葉、パクチー、パセリ、生姜、にんにく、山椒や黒胡椒、すだちやゆずなどの柑橘類まで。いまこうして書いているだけで、「薬味が好きだなぁ…」という気持ちでいっぱいになる。味もさることながら、薬味の魅力はなんといってもその個性豊かな「香り」。むせ返るような大葉の青々しい香りや、生姜に似たような、みょうがのすっきりとした清涼感のある香り。どんな料理にも寄り添ってくれるピリリとしたねぎなど、ふだんのごはんにちょっと薬味を添えるだけでいつもと違う顔を見せてくれる。料理を変えずとも、薬味があるだけで新鮮な気持ちで食べられる「香りの魔法」だと思う。

ねぎ、みょうが、大葉

そんな魔法に魅了され、気づけば冷蔵庫にはいつもなにかしらの薬味がある。豚しゃぶに大葉を乗せたり、みょうがをみそ汁の薬味にしたりと、その時の気分で薬味を添える。

五感ポイント・目で楽しむ
ぷっくりしているのがかわいらしい。おいしいみょうがの証。

特に梅雨の時期にはさっぱりしたものが食べたい。さらに薬味には殺菌作用があり、食中毒予防に役立つ。じめじめとした季節にぴったりなのだ。今回は薬味好きによる、薬味好きのための食べ方をいくつかご紹介したい。

薬味ごはん

薬味ストック

数種類の薬味を刻んで合わせた「薬味ストック」は、便利な常備菜。味噌汁の具に、冷奴に乗せて、お刺身に絡めて…と、いろんな楽しみ方ができる。薬味野菜は数種類合わせることで香りが豊かになり、タッパーから出して乗せるだけで玄人な仕上がりになるのも好きなところだ。

その時に安かった薬味を何種類か合わせるので良いのだが、個人的にみょうがと大葉は欠かせない。他にはねぎやカイワレ、千切り生姜などが使いやすい。カットねぎがあればそれでも。

大葉を切る
大葉はくるっと巻いてから切ると切りやすい。

今回は、ねぎ、みょうが、大葉の3種類を使った。それぞれを細かく刻んでいく。

五感ポイント・香りを楽しむ

このとき、切りたての薬味から良い香りがするので、ぜひ顔を近づけてくんくんその香りを感じてもらいたい。青くて爽やかな薬味の香りがすーっと鼻に通って清々しい。

料理を作る上で、見栄えもさることながら「香り」は大事な要素のひとつ。だから香り食材を味方につけると、ぐんと料理の腕が上がる。

薬味ごはん

薬味ストックの使い方は無限大にあるのだが、今回は薬味ごはんをおすすめしたい。ご飯に薬味を乗せて、醤油をたらすだけ。「それだけ?」と思うのだが、これでごはんがさらさらと進む。薬味ストックだけ準備しておけば、1分もかからずにできてしまう。これなら、夏のあまり重いものが食べたくない日にもさっぱりといただける。そうめんに薬味を添えるののごはんバージョンという感じだ。薬味ストックを作ったのならまず試して欲しい一品。

薬味ごはんをいただく
冷蔵庫で4日ほど持つ。

みょうがのナムル

薬味は脇役になりがちだけれど、みょうがは主役をはることのできる食材だと思う。

みょうがのさわやかな風味としゃきしゃきの歯ごたえをたっぷりと味わいたいときに作るのは、みょうがだけで作るナムル。斜め薄切りにしたみょうがにごま油:醤油=1:1を加えて、ごまとおかかで和えるだけ。

五感ポイント・素材を味わう/みょうがのナムル

2分あればできてしまう。みょうがのえぐみは油でおおわれてしまうので、気にならない。1本だけ余ってしまって使い切りたい……なんていうときにも便利な一品。

しゃくしゃくのみょうがの食感を、目をつぶって味わう。口の中でふわりと香るみょうがを楽しむ料理だ。一晩置いておくと味が馴染んでくたっとなるので、千切りにした大根と和えてサラダにしたり、冷奴に乗せて食べるのもおすすめ。読者さんはうすうす気づかれているかもしれないが、私はお酒のおつまみが大好きなのだ。

たこぶつのねぎまみれ

チェーンのたこ焼き屋では「ねぎ多めでお願いします」と言えるのに、ちょっといい居酒屋では遠慮してしまう。薬味はこれでもか!と使いたいから、薬味料理は家で食べるのにぴったりだ。

たこぶつのねぎまみれ

「お刺身×薬味」の組み合わせが大好物で、お財布が許してくれるなら毎晩このおかずでいいと思ってしまう。最近ハマっているお刺身は「茹でだこ」。生魚に比べて1〜2日日持ちするし、和洋中問わずに使いやすい。

今回はタコをぶつ切りにして、刻んだねぎをどっさり入れて、ごま油:醤油=1:1.5で和えた。たこの旨味とねぎの清涼感が一体となって素朴だけれど、しっかりした旨味が味わえる。ビールください〜!と言いたくなる一品。

火を使わないでいいから、暑い日でもさっと作れる。お好みでニンニク、柚子胡椒、わさび、黒胡椒などの薬味を足しても良い。ねぎは大葉やみょうがに変えてもおいしい。置き換え可能なのが薬味料理の楽しいところなのだ。

じめっとした季節も、薬味を美味しく味わえる季節だ、と思えばちょっと気分も変わるかもしれない。爽やかな香りの力を借りて、梅雨を乗り切りましょう!

山口祐加

自炊料理家、食のライター。共働きで多忙な母に代わって、7歳の頃から料理に親しむ。出版社、食のPR会社を経て2018年4月よりフリーランスに。日常の食を楽しく、心地よくするために普段は一汁一菜を作り、ハレの日は小さくて強い店を開拓する。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。好物は味噌汁。

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