キム・ナレさんに教わる 体の中からきれいになれる韓国スープ

特別企画

FOOD
2025.05.03

この春、韓国ごはんにトライしてみませんか? 

辛くて味つけのしっかりしたイメージがある韓国料理ですが、野菜をメインにした健康的な料理も豊富にあるんです。

なるべく簡単で作りやすく、体にやさしい味わいのスープを三品、韓国出身の料理研究家キム・ナレさんに教わりました。新しい味わいを作る楽しさやときめきを、ぜひご自宅で体験してください。

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教えてくれた人:キム・ナレさん

料理研究家。韓国、仁川出身。祖母や母から習った、体が喜ぶやさしい味わいを軸に、「ナレ流」のセンスを加えた料理が人気を呼んでいる。現在4歳児の子育て真っ最中で、「手軽で作りやすいが本当に大事!」と実感する毎日。最新刊に『一汁一飯 韓定食』(グラフィック社)がある。

下準備

今回のレシピで出てくる「煮干しだし」の作り方


  • 煮干し…15g
  • 水…500mL

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鍋に煮干しを入れて中火にかけ、20秒ほど炒って、水を加える。沸騰したら弱火にしてふたをする。10分煮たら、煮干しを取り出す。

ナレさんポイント

煮干しだしは、韓国でよく使われる定番のだしのひとつ。煮る前にサッと炒っておくことで、くさみが飛んでいい香りに仕上がります。

大根と牛肉のスープ

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材料(2人分)

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  • 牛肉(薄切り)…150g
  • 大根…6~8cm(100~150g)
  • 煮干しだし…500mL
  • 薄口醤油 …大さじ 1/2
  • 油…大さじ1
  • 塩…適量

作り方

1. 大根は皮をむき、5~7mm幅のいちょう切りにする。牛肉は食べやすい大きさに切る。
2. 鍋に油を引き、中火で牛肉を炒める。牛肉の色が変わったら薄口醤油を加えて全体を軽く混ぜる。
3. 大根も加えてさっと炒め、煮干しだしを加える。
4. 沸いたらアクを取り、弱火にしてふたをし、15分ほど煮る。味見をして、塩で味を調える。

ナレさんポイント

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具材を煮る前に炒めるのは、韓国料理の特徴のひとつです。こうすることで、味がしみやすくなります。大根と牛肉のスープは、年中作られるもの。牛肉は脂が少し入ったもののほうが柔らかく、おいしく仕上がります。牛肉を使うと、ごちそう感が出るのは韓国も日本も一緒ですね。このスープとごはんに海苔、キムチでもあれば、もう一食としてじゅうぶん!

きゅうりとわかめの冷汁

次はもっと簡単な、冷たいスープを作りましょう。これから気温が上がってくる時期に、ぜひ試してほしい料理です。

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材料(2人分)

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  • きゅうり…1本(100g)
  • わかめ(乾燥)…5〜6g
  • 水、氷…適量
  • A
  • 酢…大さじ4
  • きび砂糖(お使いの砂糖でも可)…大さじ1と1/2
  • 薄口醤油…大さじ1/2
  • 塩…小さじ1/2〜1

作り方

1. わかめは水で戻して、水気を絞ってから、食べやすい大きさに切る。
2. Aをボウルなどに入れてよく混ぜ、1を加えて軽く和えておく。
3. きゅうりは千切りにする。
4. うつわに2と3を入れ、水と氷を加えて好みの味に薄める。

ナレさんポイント

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わが家では夏の定番。外から帰ってきたら、これをごくごく飲むんです。プロセス2の状態まで作り置きしておけば、食べたい時にすぐに作ることができますよ。いわゆる酢のものを薄めて、スープ的に飲むものです。水でなく、冷やした昆布だしや煮干しだしで割ってもおいしい。韓国でわかめは「体をととのえてくれる食材」のひとつです。

じゃがいもと卵のスープ

さて、最後は体がホッとするスープを作りましょう。朝ごはんにもおすすめの汁ものです。

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材料(2人前)

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  • じゃがいも…2個(150g)
  • 玉ねぎ…1/4個(40g)
  • 卵…1個
  • 煮干しだし…500mL
  • 薄口醤油…大さじ1/2 
  • おろしにんにく…小さじ1/3
  • 黒こしょう、塩…少々
  • 青唐辛子…2~3㎝程度(お好みで)

作り方

1. じゃがいもは皮をむいて1cm幅の輪切りにする。玉ねぎも1cm幅のくし切りにする。
2. 鍋にじゃがいも、煮干しだしを入れて一度沸かし、ふたをして弱火に変えて8分ほど煮る。
3. 2に玉ねぎを加えたら中火にして、薄口醤油、にんにく、黒こしょう、塩を加え、溶いた卵を流し入れる。
4. 20秒ほどそのままにして、卵が固まったら火を止め、刻んだ青唐辛子を好みで加える。

ナレさんポイント

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じゃがいもと卵、煮干しのおいしさで、シンプルですが満足度の高い一品。私はちょっと胃が重たい時など、これだけでごはん代わりにするんです。青唐辛子を入れるのは、辛さのためというよりも汁にちょっと青い香りをつけたいから。ししとうやピーマンで代用してもおいしいですよ。じゃがいもは煮くずれしにくいメークインや新じゃががおすすめ。

ナレさんおすすめの調味料とそのポイント

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今回のレシピですが、炒める時など私は基本的にえごま油を使っています。韓国ではおなじみの油で、独特の風味があるもの。ごま油でもいいですが、えごま油を使うとぐっと韓国料理らしさが増します。もし興味があったら使ってみてください。

甘みをつける時は、アガベシロップもおすすめ。血糖値が上がりにくいという良さがあります。

だしに使った煮干しですが、私は使い切れない分は、酸化を防ぐため冷凍庫で保存しています。冷凍の独特のにおいも、使う前に炒れば気になりません。

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取材・文:白央篤司
撮影:豊田朋子