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スープ作家・有賀薫さんが教える、調理道具の選び方

耳で楽しむおいしいスープレシピ 番外編

FOOD
2025.05.15

料理を始めるとき、必要になるのが調理道具。種類がたくさんあって、いったい何をどう選べばいいのかわからない人も多いことでしょう。今回は調理道具の選び方について、スープ作家の有賀薫さんにお話を伺いました。3月に刃物メーカーの貝印が開催した『料理がもっと楽しくかんたんに!スープ作家・有賀薫さんに教わる“いい道具の選び方”セミナー』で有賀さんが教えてくれた「基本のにんじんしりしり」とそのアレンジレシピ二つ、そして「緑のミネストローネ」も紹介します。

道具選びは「手に持ったときに気持ちがいいかどうか」を重視

――調理器具を一からそろえるとき、最低限必要なものを教えてください。

有賀:まず、小物類は以下のものをそろえると良いと思います。

・包丁
・まな板
・菜箸
・ヘラ
・大さじ・小さじ
・計量カップ
・ボウル
・ざる
・キッチンばさみ

有賀:お鍋類は3種類あると便利です。まずは小鍋。インスタントラーメンや味噌汁を作ることができます。それからテフロン加工の深型のフライパンがあれば、炒め物や2〜3人分のカレーくらいなら作れるから便利。あとは直径20cmくらいのたっぷり入る煮込み鍋があると、パスタを茹でたり、煮込み料理を作ったりすることができます。蒸し焼きしたり、熱効率を高めるため、お鍋とフライパンは必ずふたつきのものを用意してくださいね。

・小鍋
・フライパン(テフロン加工の深型)
・煮込み鍋(直径20㎝くらい)

――リストアップしていただいた道具で、自炊をスタートすることができるんですね。

有賀:そうですね。ギリギリ最低限の道具で始めて、料理が楽しくなってきたら、そのときに必要なものを買い足せばいいと思います。たとえば、最初のうちはチューブのおろし生姜を使っていても、生の生姜をちょっと擦るだけですごく香りが立つことを知ると、使いたくなったりしますよね。そうしたら、おろし金を買い足せばいい。そういうふうに、少しずつそろえていけばいいと思います。

――道具の中で、ちょっとお金をかけたほうがいいものを教えてください。

有賀:刃物はちゃんとしたものを買うと長持ちするし、よく切れるので料理が楽しくなります。最初の1本には三徳包丁と呼ばれる汎用性の高い包丁がおすすめです。刃渡りは160〜180mmぐらい。この包丁ならキャベツや白菜などの大きな野菜もラクに切れます。最近は刃渡り145mmぐらいのミニ三徳もあり、小さな野菜が中心なら気軽に使いやすいと思います。

――まな板はどうでしょう?

有賀:小さくてもいいので、ある程度厚みがあるものを選んでください。ペラペラのシート状のまな板はおすすめできません。あれはまな板の上にのせて使うものであって、一枚でまな板として使うと、包丁の刃がすぐに削れてダメになってしまうからです。

――逆に、安くてもOKなものはなんでしょうか?

有賀:ボウルやざる、菜箸などは100円ショップのものでもいいと思います。100円ショップといえば、切ったものを一時的にのせておくステンレスのトレーがあります。これを使うと調理中にあたふたしません。なくてはならないものではないのですが、すごく便利ですよ!

――有賀さんが調理道具を選ぶときに大切にしているポイントを教えてください。

有賀:実際に手に持ったときに気持ちがいいかどうかを大事にしています。たまにネットで買うこともあるけど、基本的にはお店に行って実際に持ってみて選ぶことが多いですね。靴を買うときは必ず試着して履き心地を試しますが、道具も同じで、持ってみると「しっくりこない」とか「フィットする」とか、感覚的にわかるんですよ。

――ネットで道具を買うときは、どんなことに注意していますか?

有賀:必ずサイズを見ます。たとえば20cmと書いてあったら、メジャーで20cmをはかって家にある近いサイズのものを探して、大きさを具体的にイメージするんです。そうすると「思っていたより大きかった!」という失敗を防げると思います。

――調理道具は長く使えるものが多いイメージですが、有賀さんが長く使われている道具はありますか?

有賀:実家でカレーを作るときに使っていた無水鍋を母から譲り受けて、いまだに現役で使っています。10代の頃からカレーを作るのは私の役割だったので、その頃から考えると、もう50年近い付き合いですね。洋服だと50年前のものを着るのは難しいけれど、お鍋は大切に使えばそのくらい長持ちします。

――やっぱり、ある程度いいもののほうが長く使えるのでしょうか?

有賀:そうですね。結婚した頃に使っていた薄いアルミのお鍋は、安かったからか途中で穴が空いてしまいました。いいものかどうかを見極めるのは難しいですが、やっぱり日本のメーカーは間違いがないので、お鍋を買うときは日本製かどうかをチェックするのもいいかもしれません。

――最後に、今から調理道具をそろえる人へのメッセージをお願いします。

有賀:道具を選ぶときはどうしてもお財布との相談になるので、「いいものじゃなきゃダメ」とは言いません。どんなものでも、使っているうちに手に馴染んできます。だけど、いい道具を使うことで料理はより楽しくなります。ぜひその感覚を味わって、料理を楽しんでください!

有賀さん直伝!貝印のイベントで教えてくれたレシピ四つ

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3月に刃物メーカーの貝印が開催した『料理がもっと楽しくかんたんに! スープ作家・有賀薫さんに教わる“いい道具の選び方”セミナー』では、有賀さんが貝印の調理道具を使ってデモンストレーションを行いました。教えてくれたのは基本のにんじんしりしりとそのアレンジレシピ二つ、そして緑のミネストローネです。

基本の「にんじんしりしり」

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材料(作りやすい量)

  • にんじん…2本(約300g)
  • サラダ油

作り方

1. にんじんはピーラーで皮をむき、せん切り器でせん切りにする。
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SELECT100 せん切り器
2. フライパンにサラダ油大さじ2~3を中火で熱してにんじんを入れ、色が濃くなってしんなりするまで6~7分ほど炒める。
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※冷ましてから清潔な密閉容器に入れれば2~3日は冷蔵保存が可能。ポリ袋やラップで包めば1~2週間は冷凍保存が可能。冷蔵の場合は梅干しを入れておくと防腐効果がある。

有賀さん:味付けなしで作っておけば、いろいろな料理にアレンジすることができます。にんじんしりしりはせん切りの太さや形によって味や食感が変わりますが、貝印の「SELECT100 せん切り器」を使うと角が立った細かいせん切りに。せん切りにハードルを感じる人は多いけれど、道具を使えばあっという間でかんたんですよ。

アレンジレシピ 1. 「鶏むね肉とにんじんのミルクカレースープ」

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材料

  • 鶏むね肉(大)…1/3枚(約100g)
  • にんじんしりしり…1/2量
  • 牛乳…2/3カップ
  • カレー粉…小さじ1/3

作り方

1. 鶏むね肉を小さめのそぎ切りにする。
2. 鍋ににんじんしりしり、水1と1/2カップを入れて中火で煮立てる。鶏むね肉を加えてさらに2~3分煮る。
3. 牛乳を加えて温め、カレー粉小さじ1/3、塩で味をととのえる。

有賀さん:鶏むね肉は薄く切ることで加熱時間を短縮できます。煮すぎるとパサパサになってしまうので要注意。温めなおすと鶏むね肉に火が通りすぎてしまうので、必ず食べる直前に作ってください。

アレンジレシピ 2. 「にんじんしりしりで作るホットラペ」

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材料

  • にんじんしりしり…1/2量
  • レモン汁…小さじ1~2
  • レモンの皮…少々
  • 粒マスタード…小さじ2
  • 塩…少々

作り方

1. ボウルににんじんしりしり、レモン汁、塩少々、粒マスタードを入れて混ぜる。
2. グレーターでレモンの皮をすりおろし、上からかける。

有賀さん:レモンは国産のものを使い、皮の白い部分は削らないように気を付けましょう。貝印の「SELECT100 グレーター」(おろし金)にはシリコンのカバーが付いていて、このカバーをヘラとして使うことができます。グレーターの裏にくっついた食材をこそげ取るのに便利ですよ。

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SELECT100 グレーター

「緑のミネストローネ」

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材料

  • 玉ねぎ…1/2個(約200g)
  • にんにく…1かけ
  • 小松菜…1わ(約200g)
  • ブロッコリー…1株(約250g)
  • じゃがいも…1個(約130g)
  • ひよこ豆の水煮…100g
  • 赤唐辛子…1本
  • ハードチーズ(パルミジャーノ、ペコリーノロマーノなど)…適宜
  • 好みでバケットの薄切り…適宜
  • オリーブオイル

作り方

1. 玉ねぎは縦に薄切りにする。小松菜は根元を切り、幅1㎝に切る。ブロッコリーは細かく刻む。じゃがいもは皮をむいて幅8㎝の輪切りにする。にんにくは包丁の腹でつぶす。
2. 鍋にオリーブオイル大さじ3~4とにんにくを入れて弱火で熱し、香りが立ったら中火にし、玉ねぎと塩ひとつまみを入れてよく炒める。小松菜とブロッコリー、塩小さじ1を加えてさらに炒める。野菜がしんなりしたら、じゃがいも、ひよこ豆、種を取った赤唐辛子を入れ、水をひたひたに加えて煮る。煮立ったら弱火にし、ふたをずらして乗せて20~30分煮込む。
3. 水を1カップほど足し、塩少々で味をととのえる。器に盛り、チーズをグレーターでおろしてかける。好みでバケットを添える。

有賀さん:一皿で栄養を摂れるスープです。どんな野菜を入れてもいいし、煮詰めてソースみたいにしてパスタを絡めるのもおすすめ。野菜は貝印の「SELECT100 シリコーンスプーン」で炒めましたが、フチがしなるから鍋底をこそげやすく、そのわりに中心が硬いので安定感があります。このヘラはかぼちゃなどもつぶしやすいので、ブレンダーを使わずにポタージュを作るときにも重宝しています。

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SELECT100 シリコーンスプーン

いい道具を使ったときは「あっ!」と思う

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イベントでは有賀さんによるデモンストレーションの後、参加者による調理タイムが行われました。全員で作った料理を試食後、有賀さんと貝印社の担当者さんがアイテムの使い心地についてお話する場面も。

有賀さん:いい道具を使ったときって「あっ!」と思うんですよね。たとえば切れ味が悪い包丁でも、慣れてしまえばそれが当たり前になるんですが、切れ味がいい包丁を使うと「あっ!すごく切れる!」と気づく。やっぱりいいものは動きや手にフィットして気持ちよく使えるんです。皆さんにも、そういった道具との出会いがあればいいなと思います。

今回のイベントで使用したのは、貝印社の「SELECT100」シリーズのアイテムです。SELECT100は2004年に誕生したブランドで、コンセプトは「使いやすい道具はシンプルで美しく、手になじむ」。快適で手になじむ使い心地、直感的に使い方がわかるシンプルさ、必要最低限の要素で機能を満たす理に適ったデザインの三つを兼ね備えています。

今回使った道具はこちら

SELECT100 せん切り器
https://www.kai-group.com/store/products/detail/997
トンネル状のクランク刃を通すことで包丁で刻んだような、角のある美しい千切りが簡単に仕上がる。押し引き両動作対応でとってもスピーディー!

SELECT100 シリコーンスプーン
https://www.kai-group.com/store/products/detail/13624
これ一つで「ほぐす」「炒める」「すくう」ができる、シリコーンの調理用スプーン。鍋やフライパンのカーブや底面にフィットしてすくいやすい形状で、袋に入れた食材もスミまで届き、中身を取り出すのにも便利。

SELECT100 グレーター
https://www.kai-group.com/store/products/detail/15042
ハードチーズや柑橘のほか、生姜、にんにくなどもおろしやすいグレーター。力を入れなくてもするするとすりおろせる。収納しやすいコンパクトな設計で、引き出しに収納しやすく、テーブルに置いても邪魔にならない。

いい道具は料理のストレスを軽減し、料理の時間をより一層楽しいものにしてくれます。最低限の調理道具をそろえるところから始めて、必要に応じて少しずつ買い足していきましょう。新しいアイテムを迎えるたび、キッチンに立つのが楽しくなりますよ!

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取材・文:吉玉サキ
取材協力:貝印