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「世界⼀⻑ねぎを美味しく⾷べる鍋 」を休日課長さんが作る

リュウジのレシピトレード #13 後編

PEOPLE
2023.03.28

料理研究家リュウジさんとゲストがお互いのレシピをトレードし、料理をしながら語り合う本連載。今回のゲストは、ゲスの極み乙女、DADARAY、ichikoro、礼賛の四つのバンドで活躍するベーシストの休日課長さんです。

プライベートでもリュウジさんと飲み仲間だという休日課長さん。そんな休日課長さんが選んだリュウジさんのレシピは、「世界⼀⻑ねぎを美味しく⾷べる鍋」。太く切った長ねぎを立てて断面を見せる、見た目にも楽しいお鍋です。

前編に引き続き、同い年の二人による「こういうシチュエーションで食べたい!」という妄想トークが満載。ワイワイ楽しいお鍋回、後編です。

世界⼀⻑ねぎを美味しく⾷べる鍋

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材料(2人分)

  • かつお節…4g
  • ⻑ねぎ…2〜3本(300g)
  • 豚バラ…200g
  • ⽔…300cc
  • 酒…⼤さじ3
  • 味の素…5振り
  • 塩…⼩さじ1/2
  • ごま油…⼤さじ
  • レモン醤油
  • レモン…1/8個
  • しょうゆ…⼤さじ1

作り⽅

1. ねぎの葉の部分についている砂を洗い流す。
2. ねぎは鍋の⾼さほどの⻑さに切り、豚⾁は3等分に切る。
3. ⼟鍋の中⼼にねぎを⽴て、周りに豚⾁を⼊れる。
4. かつお節を電⼦レンジ600Wで40〜50秒あたため、指で揉んで粉にする。
5. 鍋に⽔、酒、粉にしたかつお節、味の素、塩、ごま油を⼊れる。
6. 鍋を⽕にかけ、沸いたらふたをして弱めの中⽕で20分煮込む。

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あの魯山人からインスピレーションを得たレシピ

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休日課長

このレシピ、ねぎを立てるんですね。この発想はなかなか浮かばないですよ。

リュウジ

北大路魯山人のすき焼きは、こうやってねぎを立てていたんです。そこからインスピレーションを得て作ったのがこのねぎ鍋。

休日課長

魯山人から来てるんだ。それはすごい。僕なら絶対にたどり着かないもん。リュウジさん、いろんなところにアンテナを張ってるんですね。

リュウジ

アンテナ張らないとネタが尽きるんですよ。今、週7でレシピ動画更新してるから。

休日課長

どういうスケジュールで撮ってるんですか?

リュウジ

2日で8本くらい撮ります。それ以外の時間は料理の研究をして、こういう別の仕事もやって。

休日課長

それは大変だ。

新感覚!ねぎが「ホクホク」になる

リュウジ

ねぎを洗って、鍋の高さくらいに切ります。4㎝くらいですかね。青い部分も等間隔に切っちゃってください。

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ねぎを切る

休日課長

太くておいしそうなねぎだなぁ。

リュウジ

この鍋はねぎをまるまる食べるのがポイントなんですよ。ねぎがね、ホクホクになる。

休日課長

僕、まだホクホクのねぎを知らないです。

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リュウジ

切ったねぎはもう鍋に入れちゃいましょう。鍋の真ん中あたりに立てて並べるだけ。

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豚バラを切る

リュウジ

豚バラは3等分してください。

休日課長

豚バラ、見るだけでテンション上がる。

リュウジ

いや、まだ生だから(笑)。

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立てたねぎの周りに豚バラを入れる

リュウジ

肉同士がくっついても剥がせばいいだけだから、ぎゅうぎゅうに入れても大丈夫。

休日課長

なんだこれ、はじめての感覚だ。なんか楽しい。

リュウジ

こうすると、豚バラから出た脂がねぎに吸収されるんですよ。沸騰すると、ねぎの真ん中の空洞から汁が上がってくるんです。

休日課長

使用する鍋は土鍋がいいんですか?

リュウジ

なければ他の鍋やフライパンでもできるけど、土鍋は熱がこもるからいい温度で蒸すことができますね。できれば小さめの土鍋がいいです。鍋の高さに合わせてねぎを切るから、鍋がでかくなればなるほど、ねぎがでかくなっちゃう。

粉々にしたかつお節を使うのがポイント!

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かつお節を電⼦レンジ600Wで40〜50秒あたためる

リュウジ

かつお節を電子レンジで40秒くらい温めます。温めたあと、指で粉々にして鍋にそのまま入れるんです。

休日課長

これは、なんでレンチンするんですか?

リュウジ

熱が加わることによって水分が抜けて、粉々にしやすくなるから。

休日課長

なるほど。

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かつお節を指で揉んで粉にする

リュウジ

かつお節で出汁を取るときはかつお節を濾すけど、こうして粉々にすると、濾さずにそのまま入れても口に残らないんです。

休日課長

かつお粉とか、すでに粉になっているものもありますよね。

リュウジ

あるけど、粉になっていないかつお節のほうが品質が良いものが多いから、僕はこっちを使います。

休日課長

なるほど。レンチンするとかつお節の香りが立ちますね。いい香り。

全部セットしてから火にかけるので、焦らなくても大丈夫

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リュウジ

では、水と調味料を入れていきます。

休日課長

鍋を火にかけますか?

リュウジ

いや、全部の調味料を入れてからで大丈夫。

休日課長

全部セットできてからでいいんですね。焦らないからいいな。

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鍋に水、酒、粉にしたかつお節、味の素、塩、ごま油を⼊れる

リュウジ

味の素は昆布の旨味と同じグルタミン酸だから、かつお節との合わせ出汁になります。最後に香りづけとしてごま油を回しかけて。

休日課長

味付けは出汁と塩だけなんですね。シンプルイズベストだ。

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鍋を火にかける。最初は強火でグツグツ沸かして

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リュウジ

煮るというより、ふたをして少量の水で蒸していく感じ。だからねぎの風味が逃げないし、むしろ、出汁を吸い込んでおいしくなっていくんです。

休日課長

この発想はなかったわ…!

ねぎが出汁を吸い上げる!

リュウジ

煮込んでる間に、つけだれのレモン醤油を作ります。ポン酢でもいいけど、レモン醤油で食べるとさっぱりしてめちゃくちゃおいしいの。

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レモンを切る

リュウジ

このレモンは小さいから半分くらい絞っちゃってもいいかも。

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レモンを絞る

リュウジ

生レモンがおすすめだけど、調味料のレモン果汁でも大丈夫。

休日課長

そうこうしてる間に、めちゃくちゃおいしい匂いがしてきましたね。お腹減った。

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リュウジ

沸いてきましたね。ねぎが出汁を吸い上げてる。

休日課長

ほんとだ、ねぎの断面がコポコポしてる。

リュウジ

ねぎってふつうは薬味として使われるじゃないですか。でもこうするとホクホクになって、ねぎが主役になるんですよ。

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15分ほど煮込んだら完成!

休日課長

リュウジさんのレシピって、味はもちろん、見た目もいいですよね。インパクトがあって。

リュウジ

実は、この鍋は見栄えから逆算して考えたんです。ねぎの断面を見せるにはどういうレシピにしたらいいか考えました。

休日課長

そういう考え方もあるんだ!

リュウジ

僕は料理の名前から入ることもあります。たとえば「悪魔のチャーハン」だったら、名前を先に思いついて、そこから悪魔的な魅力の味を考える。

休日課長

新しいレシピを考えるときって、部屋で一人で飲みながら考えるんですか?

リュウジ

僕、一人でいるときは一滴も酒を飲まないんですよ。コミュニケーションツールだから、人といるときしか飲まない。

休日課長

意外だ!

リュウジ

だから、真の酒飲みではないのかも。やばいな、キャラがブレる。

「今までの人生で、ねぎをこんなに楽しんだことあったかな…」

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休日課長

うまそう!これはぜひ、ねぎ農家さんに見ていただきたいですね。

リュウジ

これ、食べ方があるんですよ。まず、ねぎを取ったら箸で縦に切って、開くんです。

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リュウジ

開いたねぎで豚バラを巻いて、レモン醤油をつけて食べます。

休日課長

どれどれ…。

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休日課長

うまい!!

リュウジ

でしょう?

休日課長

驚きました。これはやばい。ねぎの中まで火が通ってて、繊維感がまったくない。本当にホックホク。豚バラとかつおの風味との相性も最高!今までの人生で、ねぎをこんなに楽しんだことあったかな…。

リュウジ

ねぎって斜め切りで鍋に入れると、しなっとするじゃないですか。だけどこの鍋は口に含むねぎの量が段違いなんで、「ねぎ食ってる感」がすごいんですよ。

休日課長

「ねぎ食ってる感」はすごいけど、スッと溶けてくから不思議と口に残らないですよね。こんなにねぎが主役の鍋はないですよ。しょうがとにんにくさえ入れない潔さ。

リュウジ

ありがとうございます。このレシピ気に入ってるんだけど、YouTubeではそんなに再生回数が伸びなかったから、課長が選んでくれたのがすごく嬉しかった。

休日課長

僕の鍋もねぎの使い方がポイントだったので、いい対比になりましたね。

リュウジ

ねぎの使い方が対照的ですよね。みじん切りにしてスープに溶け込ませた課長と、ねぎを主役にした僕と。

休日課長

いや、この鍋を知っちゃったら絶対にねぎを立てたくなる!

〆の雑炊は絶対!雑炊をおかずに白ごはんを食べることも

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休日課長

この鍋は着物の女将さんがいらっしゃるような店で出てもおかしくない。「外、寒いですね」って言いながらこのお鍋を出してほしい。

リュウジ

これは日本酒ですね。焼酎もいけるけど。

休日課長

〆は雑炊ですね。卵は溶いてもいいですか?

リュウジ

溶きましょう。ねぎの旨味が溶け込んだ汁に、軽く水で洗ってさらっとさせたごはんを入れて、卵で閉じて。

休日課長

想像しただけでうまい。ねぎの名産地の名物になりそう。リュウジさんがその土地の名産品で料理したらおもしろそうですね。

リュウジ

でも、土地の名産品を使う料理って難しいんですよ。野菜自体の味がすごく強いから。

休日課長

この鍋でいろんな産地のねぎを食べ比べてみたいな~。

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休日課長

食べる手が止まらない。この鍋でダイエットできそう。

リュウジ

どうだろう、豚バラだからね。脂は汁に溶けてるけど、そのぶん雑炊はカロリー高いと思うよ。

休日課長

あぁ、これで雑炊をしないのは無理かな。白ごはんと一緒に食べつつ、さらに〆の雑炊も食べちゃう。

リュウジ

鍋のときって、白ごはんも一緒に食べる?

休日課長

普通ですよね?

リュウジ

僕は、鍋のときは鍋だけですね。

休日課長

僕、絶対に白ごはんで鍋を食べて、最後の〆は麺か雑炊。下手すると、雑炊をおかずに白ごはんを食べることもあります。

リュウジ

それはたぶん一般的ではない。

休日課長

食べちゃうんだよなぁ。

リュウジ

課長ってすごくおいしそうに食べるよね。「休日課長の妄想グルメチャンネル」とかあったら、ずっと見てられると思う。

ねぎ鍋を出されて告白…!?ドキドキの妄想トーク

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スタッフ

このお鍋はどんなシチュエーションで食べたいですか?

休日課長

…ちょっと待ってください、考えます。

リュウジ

めちゃくちゃ真剣に考えるじゃん。

休日課長

…整いました。全部架空なんですけど、ツアーの打ち上げでよく行く地方の居酒屋があって、大将とも気心知れていて。そのお店に看板娘がいるんですよ。名前は…早苗さんにしようかな。で、久々にそのお店に行ったら、大将が「今日は早苗が手料理を振る舞いますよ」って言って、緊張した面持ちの早苗がこのお鍋を持ってきます。

リュウジ

ふむ。

休日課長

僕が食べようとしたら、早苗が「あ、食べ方があるんです」って、ねぎを開いて豚バラを巻く食べ方を教えてくれて。気づいたら、大将がいなくなっていて早苗と二人きりなんですよ。そしたら頬を赤らめた早苗が「私、どうしても課長さんにこのお鍋を食べてほしくて…。ずっと好きだったんです」って言うんです。

リュウジ

看板娘とどうにかなる話じゃないですか。もっとねぎ鍋出してよ(笑)。

休日課長

これは失礼。

リュウジ

いや、めっちゃおもしろいです。

休日課長

早苗も、リュウジさんのYouTubeでこのレシピを知ったそうですよ。

リュウジ

早苗さん、バズレシピの視聴者なんだ。そこは早苗のオリジナルであれよ!(笑)

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休日課長

リュウジさんは?どういうシチュエーションで食べたいですか?

リュウジ

課長のあとに言うの嫌だよ。

休日課長

まあまあ、そう言わず。

リュウジ

えーと、昼間に外でデートして、夕方になって「夕飯どうする?」って話になって。僕が「農家さんからいいねぎもらったんだけど、ねぎ鍋作ろうか?」って言ったら、目を輝かせて「食べたい!」って言ってくれる女性で。

休日課長

いいですね。

リュウジ

二人で僕の家に来て、僕がちゃちゃっと作って。彼女はビールを飲んで待ってるんですけど、1缶飲み終えた頃に「はい、できたよ」ってパカっとふたを開ける。食べ方を教えたら、「こんな食べ方知らない!」って感激してくれて。「俺に惚れ直した?」みたいな。

休日課長

設定としては、まだ付き合ってない段階?

リュウジ

いや、付き合ってなくて家に呼ぶのはハードル高いから、付き合って2ヶ月後くらい。告白するときの勝負レシピではないかな。ほっこりレシピだから。

休日課長

彼氏の家でこの鍋が出てきたら「ワンランク上の男だ」って思っちゃいますよね。惚れ直します!

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スタッフ

お二人はコラボの予定はないんですか?

リュウジ

あるとしたら料理系なんだけど、本音言うと、課長に演奏してもらって歌ってみたい。めちゃくちゃ贅沢ですけど。夢ですね。

休日課長

リュウジさんの「歌ってみた」、バズりそう。

リュウジ

俺、もともとは音楽やりたかったんですよ。声優か歌手か、声を使う仕事をしたかったんです。だから音楽には憧れがある。

休日課長

だからリュウジさん、音楽関係の人と仲がいいんですね。

リュウジ

不思議と、ミュージシャンと話が合うんですよね。利害関係なく付き合えるからかな。ミュージシャンの人達は、僕と関わってもメリットがないから。

休日課長

仕事ありきで絡んでるわけじゃないですもんね。

リュウジ

そうそう。じゃあなんで一緒にいるかといえば、単純に楽しいから。課長と会うのも、純粋に一緒にいて楽しいからです。飲むとだいたいさっきみたいな妄想の話になるんだけど、それを聞くのが好き。課長ワールドに巻き込まれながら飲むのが最高なんですよ。

休日課長

リュウジさんとコラボするなら、僕の妄想を実写化したいですね。僕の妄想とリュウジさんのレシピを絡めたらおもしろそう。

リュウジ

飲むと絶対この話になるよね。

休日課長

その実写化には、いろんな方言の女性に出てきていただきたい。「方言メシ」とかどうですかね?

リュウジ

ねぎの名産地の回は早苗さんが出てきて?

休日課長

そうそう!

リュウジ

実現するなら僕も料理監修として参加したい。いやぁ、課長とこういう話するの、本当に楽しいです。

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前編はこちら

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取材・文:吉玉サキ
撮影:猪原悠