重信初江さんに教わる、基本の関東風おすまし雑煮

特集・お雑煮を知り、楽しむ

2022.12.27

早いもので、もう年末となりました。あと少しで新たな一年。年明けの食卓を彩るものの一つが、お雑煮です。地域によって、ご家庭によって、お雑煮の姿も様々。アイスムでは今回特集として、いろいろな方に「わが家のお雑煮」を教えていただき、思い出も同時にうかがいます。第一弾は、東京育ちのこちらの方から。(聞き手:フードライター 白央篤司)

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教えてくれた人:重信初江しげのぶはつえさん

料理研究家、東京都出身。家庭的なおそうざいから海外の料理まで、幅広いジャンルを得意とする。「なるたけ作りやすく、分かりやすく」を基本としたレシピと、飾らない人柄にファンが多い。著書多数。


「私は東京の世田谷区で生まれて育ちました。お雑煮はいわゆる関東風のおすましで、鶏肉と小松菜、紅白のかまぼこを入れます。小松菜はアクが少ないから、切ったらそのままおつゆに入れられるのがいい。ていねいに作る場合は別にゆでて、あとで加えるんでしょうけど。うちは雑な家ですから(笑)。あと、いちょう切りにした大根も入れます。短冊に切る人もいますよね。」

おすまし雑煮と一口に言っても、青菜がほうれん草になる家もあれば、大根の切り方もいろいろ。ディテールがちょっとずつ違うのが、お雑煮のおもしろさでもあります。重信さん、おだしは何を使われていますか?

「うちはかつおだしなんです。かつおと昆布の合わせだしの方も多いんでしょうけど、かつおだけで。母の家がかつおぶしをよく使う家なんですよ。お正月ですからハレの日っぽく、一番だしだけで作ります。実際にお雑煮、作っていきましょうか。」

ぜひぜひ、作るところを見せてください!

重信初江さんちのお雑煮

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材料(2人分)

  • かつおだし…2カップ
  • 角餅…2個
  • 鶏もも肉…100g(1/3枚)
  • 大根…60g
  • かまぼこ(5mmの厚さに切ったもの)…4枚
  • 小松菜…50g
  • (A)醤油…小さじ1
  • (A)塩…小さじ1/3

作り方

1. 鶏肉は小さめの一口大に切る。大根は3~4mmの厚さのいちょう切りにする。小松菜は3~4㎝の長さに切る。
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「鶏肉なんですけど、脂分が気になる方は皮を取ってください。でもねえ、皮からおいしいだしが出るんですよ。もったいないっちゃ、もったいないけど。」

そういってクスッと笑う重信さん。おいしさ優先で、今回は皮を入れたまま作りました。

2. 鍋にだしを入れて沸かし、(A)を加えて、鶏肉と大根を入れる。アクを取りつつ、煮立ったら弱火にして4分ほど煮る。
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3. 別の鍋にお湯を沸かし、餅を入れてやわらかくなるまで4分ほど弱火で煮る。
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「お餅がくっつかないよう、離して煮てくださいね。やわらかくなったら、お椀に盛りますよ。」
4. 鍋に小松菜とかまぼこも加えて、再び煮立ったら火を止める。具のそれぞれをお椀に盛り入れ、おつゆを適量入れる。

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シンプルな味つけが、かつおだしのおいしさを際立たせて、なんともホッとする味わい。これが、重信さんが馴染んできたお雑煮の味なんですね。

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「ところがですね。さっきも言った通りうちは雑な家ですから、本当はお餅を直接おつゆに入れて煮ちゃうんですよ。時間が経つともうドロドロになって、ポタージュ状態になることも(笑)。それがうちの“普通”だったなあ。大人になって師匠(料理研究家・夏梅美智子氏)のうちでおすまし雑煮をいただいたとき、驚いたんですよ。ドロドロじゃないからビックリで。『えっ、これがお雑煮なの⁉』って。」

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お雑煮って、こういうことがあるからおもしろいですね。わが家の「当たり前」がよそでは全然違うことも。そしてお餅が溶けてドロッとしたお雑煮、苦手な人もいるかもですが、あれはあれでなかなかおいしい。

さて重信さん、お雑煮に関して思い出をもう一つ教えてくれました。

「母の実家は静岡県牧之原市の海のほうなんですが、そこのお雑煮はお餅に青のりと粉がつおをドサッとのせるんです。本当にもう、いっぱいのせる。青のりがおつゆを吸って、なんというか…モサアッとするほどに(笑)。当時はちょっと驚きましたが、今思えばおいしかったですね。好きな味です。」

小さい頃、親の実家でいただいたお雑煮というのも印象的なもの。重信さん、ありがとうございました。みなさんはお雑煮にどんな思い出がありますか?

お雑煮特集、まだまだ続きます。どうぞお楽しみに。

おまけ・かつおだしの作り方

重信さんのかつおだしの作り方(取り方)を、特別に教えていただきました。
みなさんぜひ、参考にしてください。

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材料(かつおだし 2カップ分)
・水 2と1/2カップ
・削り節 ひとつかみ(約12g)

1. 鍋に水を入れて沸かし、削り節を加える。箸などで削り節がすべて湯の中につかるようにする。
2. 再び煮立ったらすぐ火を止めて、10分ほど置いてからこす。

「こすと大体2カップほどの量になります。これが一番だし。使った削り節に半量くらいの水(250mL程度)を入れて3~4分煮出せば、二番だしに。煮物などに使えますよ。」

もう一つ・おまけ

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かまぼこを板から外すときは、包丁の背を使ってやりましょう。

「これ、あまり知られてないかもですよね。包丁の刃のほうだと、板が切れちゃいますから。以上、マメ知識でした!それではみなさん、どうぞよいお年を。」

白央篤司

「食と暮らし」、郷土料理がテーマのフードライター。著書に『自炊力』(光文社新書)、『にっぽんのおにぎり』(理論社)など。料理家としても活動し、雑誌や食品メーカーへのレシピ提供も定期的に行っている。

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取材・文:白央篤司
撮影:鈴木泰介

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